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364 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/10(金) 19 16 [ imAIk9NE ] 投下終了です! ご意見ご感想お待ちしております! 365 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 19 38 [ ZfVCAZuU ] ご苦労様でした!!! しかしセフェティナのバルトに対するこの態度・・・。 なんかますますダークエルフの登場によって青島争奪戦が起こることを願いたい。 366 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 20 26 [ ZfVCAZuU ] またまたしつもーん。 358で宗教上の理由により機械を禁止ということは、FF10のエボンの教えを彷彿とさせるのだが。 「機械に頼りすぎた人間を罰するために"シン"は生まれた。ゆえに、みだりに機械を使ってはならない。人間が罪を部手償えば、"シン"は消え去る。」 という教えのもと、機械を使うことタブーとしている。 かといって、自然との共存を説いているのかどうかは不明。 かつて機械文明のザナルカンドと狂信的宗教信者のエボンに別れて抗争していたが、歴史上の多数の実例と同じように、狂信者が勝つ。 エボンの教えというものをでっちあげて、自分の支配に都合のよい戒律を押しつけるのはキリスト教の戒律と同じ。 エボンの教えとブリッツボールの娯楽で愚民を指導するのはローマの「パンとサーカス」と同じ。 これ見るとアジェントに共通してる部分が多い。 アシェナ聖教も自然との共存を説いているのかは不明。(ただエルフと人が共に普通に生活しているからその可能性は高い。ドワーフが迫害されるのは機械を作ったりしたから?ダークエルフは不明) まずなにより機械文明のバルト帝国とアシェナ聖教の信者によって構成されるアジェント王国の対立。 アシェナの教えにより魔法使いという存在が特権を持っているように考えられる。(魔法原理主義?よって機械は魔法を原理としてきた彼らの特権を奪いかねない?) アシェナの教えによる『アシェナの神の庇護を受けられない哀れな異世界人達を救い出す』という宣伝で民衆をコントロールし奴隷商売を正当化、ここもローマの奴隷制度と同じ。 これまでの話を読んだ上でこの様にに考えてみたが、いかがなものか? 367 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 20 37 [ ZfVCAZuU ] 古代文明があると書いてありましたよね。 もしかしてバルトの機械兵器というのはその文明の遺跡から発掘したものが原型になっているのではないんですか? 他に機械が認識されているということは誰かがそれを作ったことがあるということですよね? 368 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 20 51 [ ZfVCAZuU ] 乙カレー うう~~~んセフェティナが天然っ娘だぁ~~。 青島ともいい感じ~♪♪♪ それはさてより次回を期待してます。 369 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 21 00 [ ZfVCAZuU ] バルト帝国ってなんかセガのゲーム、パンツァードラグーンシリーズの帝國に似てる。 この國も旧世紀の遺跡から兵器を発掘、人類を脅かす多数の巨大生物を撃退し瞬く間に一大国家となった。 370 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 21 19 [ ZfVCAZuU ] 自衛隊=正義物でいくのですよね 腹黒そうな赤羽がこれからどのように動くのかが気になります 下手すると最悪の事態になりかねないし 371 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 21 20 [ 8Cz/jxg2 ] 翻訳魔法も万能じゃないみたいだな。 ”土を殺す光”=”放射能”が直訳されていないし 青島の「じゃあ、アジェントに帰ることになるのか?」という言葉のニュアンスが誤って伝わっている。 言葉上の誤解は生まれないと思っていたけど、日本も注意深く交渉する必要がありそうだ。 372 名前:S・F (7jLusqrY) 投稿日: 2004/09/10(金) 21 23 [ MSZ8PKC. ] 更新乙です!現状では古代文明遺跡にいかに潜り込むかが帰還の焦点ですな。 奴隷が奴隷を呼び出すシステムを解析したりしようとすれば、当然拒絶どころじゃ 済まないだろうし。 こう考えると、奴隷に頼る王と臣下セフェティナは外交ラインとしてちときついか。 打てる手としてはアルクアイと結んで内部介入するか、セフェティナ個人を たぶらかして遺跡潜入・解析に勤しむか、バルトと結んで外交圧力をかけ、 どうにかしてしまうか。 現状のまま行くと、「セフェティナとラブコメでウハウハ!」が政治的に利用 できそうで嫌な感じだwバレたら電流で黒こげ・・・トラジマビキニー! 373 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 21 32 [ ZfVCAZuU ] 翻訳魔法はその本人が認識及び理解していない概念の場合は他の表現で補われるのでは。 だってヘリやこんごうだってそうだったし、放射能なんて彼女が知るはずもない。 374 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 22 35 [ ZfVCAZuU ] 体の回りにマナを集めて長時間耐える修行があるが露出度の高い衣装を身にまとっていたりして。 ラグナロクオンラインのマジシャンやセージやダンサーのごとく。 魔法使いの女、特に若い娘は肌を多く晒すことで多くのマナの恩恵をえられるというのを何かのファンタジーの解説本で読んだことがある。 375 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/10(金) 22 44 [ ZfVCAZuU ] グッジョブ!!! 相変わらずいい仕事をしていますな ところで万が一上陸作戦をやるとしたら航空戦力が足りないんじゃと思ってみる 376 名前:S・F (7jLusqrY) 投稿日: 2004/09/11(土) 01 04 [ MSZ8PKC. ] 373土を殺す光=放射線って、青島の勘違いなのでは?概念の補完って 青島も勝手にやっている事だし(魔法=バケツのイメージって正しいのか) ホントは紫外線殺菌装置かなんかの進化兵器だったりして。 古代文明では農業力を強化した細菌の力に頼っていたが、それを倒す殺菌光線を 相手が発動したため、農業生産が壊滅・滅亡したとか。別にこれでもアリだと 思うんだけどなあ・・・中性子弾でも土殺しがメインじゃないだろうし。 377 名前:名無し三等兵@F世界 投稿日: 2004/09/11(土) 07 27 [ Etr0stzs ] おはようございます。 朝からなんですけど一番ここが本家と分家の中でも活気があるような感じがしますね。 それはともかくご苦労様でした。 なおもしよければこれが航空戦力の参考になることを。 ttp //members.at.infoseek.co.jp/n_hikkii/ といっても本家のほうで何度か紹介されてるものですが。 登場させるとしたらある程度無理の無い設定でなら大丈夫なのでは? あくまで“正規空母”がNGなのであるからして。 378 名前:名無し三等陸士@F世界 投稿日: 2004/09/11(土) 16 50 [ NJ2htG1Q ] 376 373土を殺す光=放射線って、青島の勘違いなのでは? 放射能汚染が「土を殺す」という概念で理解されているのでは? 379 名前:F猿 (BfxcIQ32) 投稿日: 2004/09/11(土) 18 49 [ imAIk9NE ] どうも、随分早く出来上がっちゃました。 FF10はやったことないんで良く分からないんですが、 確かにアシェナ聖教はキリスト教を参考にしているところが多いので 似ているところがかなりあると思います。 翻訳魔法については373さんの解釈で正しいです。 すんません、分かりにくくて・・・。 「土を殺す光」については本編で明らかにしていくつもりです。 では投下。
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シムシキテン(四無色天) 仏教の禅定の境地の神格化。 本来無形とされるが真言密教では楼閣の形で表される。 内訳: ヒソウテン (非想天) ムショウショテン (無所有処天) シキムヘンショテン (識無辺処天) クウムヘンショテン (空無辺処天)
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田中茂人(たなかしげひと)はある国の親善大使に会うために総理官邸まで来ていた。 たぶん新興国の要人なのだろう。 相手はエルブ王国という聞いたことがない国の人物らしい。 外務省も経済産業省や内閣府が忙しい例に漏れず、在留外国人の相手で一杯一杯である。 暇なのは文武科学省と環境省ぐらいだ。 特に文武科学省は日本ユネスコ会長が運営資金を流用していた罪がお流れになって歓喜している。 自衛隊と海上保安庁の共同による、国境封鎖から忙しい。 各国大使館には駐留外国人がずらりと並び、外まで長い列を作っている。 最後尾は5時間待ち、甲高い声ネズミランドのアトラクション待ち並だ。 駐留外国人の滞在許可延長の手続きや、海外の家族を心配する外国人への返答、 怒鳴り込んでくる海外要人への対応など、元々少数精鋭、 予算が減らされギリギリの人員で廻していた各国大使館は 通常業務のほかに急速に増えたクレームを処理する力はなかった。 クレームを処理すると同時に通常業務は行えない。大使館の仕事は特別な知識や資格がいる。 大使館員は替えが効かない。緊急雇用も難しい。 他部署からの増援も望めず、仕事はの必要性加速度的に高まっている。 日本人と外国人との金利格差の訴えや、差別云々に関する“いつもの業務”は全て無視して 増えた仕事に対応しているのが現状であった。 クレームの中で面倒なのが株と為替の問題である。 海外と連絡が取れなくなった影響で、海外口座の確認や資金運用の相談 についての電話がひっきりなしに電話に掛かってくる。 「株と為替の件については金融庁に一任しています」と話して電話を切っても。 数時間後、同じ相手から「金融庁につながらないからアンタらに電話した」と返って来る。 結局、問題はたらいまわしで処理はできない。 そうした件が何件もあった。 しかも相手は金のことだから簡単には諦めず、他の案件処理の時間がとられる。 人間の欲は恐ろしい。 数日前から大使館の固定電話と個人的な携帯電話が鳴りっぱなしだ。 うるさくて眠れないので音と振動を切り、ピカピカ光るのが邪魔なのでカバーを掛けて 携帯電話の電源を付けっぱなしにしたまま家に放っておいた。 今頃、恐ろしい勢いで留守番電話サービスに転送されているだろう。 事態が収束してからの電話が怖い。一週間連続、頭をさげて電話を掛け続ける破目に陥るのは確実。 それだけ忙しい中から引き抜かれたのだから さぞ、エルブ王国大使とやらの会談は重要なのだ。 会談内容は実務者会談でもなく政労使交流でもなく、ただの交流に留まる程度だそうだ。 交流程度なら他の部署にやらせておけばいいし、緊急性もない。 自分程の役職が出張る仕事でもない。 暇になったらささっとやっておけばいいだろう。今は殺人的に忙しい。 新興国家相手がどうしてそこまで重要な仕事であるのか見当も付かない。 「失礼します」 「よく来てくれた。君が茂人君だね。館長からの紹介で知っている」 総理官邸に入ると武原総理が直接出迎えた。 「挨拶はいい、時間が勿体無いからな。 2、3質問があるから答えてくれるかい?」 面食らう田中を前に武原は言葉を続ける。 「確か君はエルフ語が出来たんだったね」 「はい。イギリスで学びました」 大学で適当に単位を埋めるためとった教科だ。 「他にも話せる言語があったね」 「英語、イギリス英語、中国語、ドイツ語です」 「大した物だ。私なんて20年以上ほぼ毎日、中国語やドイツ語の通訳を聴いているが、 いまだに彼らが何を言ってるのかわからん。英語しか話せんよ」 「中国語は広東かな」 「北京語です。父に連れられて一時期住んでいました」 「茂人君の父上は知っているよ。昔、随分お世話になった」 「話は変わるが、君はファンタジーが好きかい?」 「ええ。指輪物語やD&Dも好きですね。やりもしないのにルールブックを買ってますよ」 「D&D?」 「有名なファンタジーゲームですよ」 「するとエルフやドラゴンについても詳しいわけだ」 「かいつまむぐらいですが、それなりには」 「神話や怪物はどうだね?例えばワイバーンとドラゴンの違いは知ってるかい?」 武原は胸ポケットから写真を出した。 写真に写るワイバーンは生き生きとしていて、まるで本物だった。 茂人の目線が上に向いた。答えを考えている。 「違い―――ですか」 「そうだ」 「世間一般の認識としては、ワイバーンとドラゴンは別物、又は亜種とされています。 ワイバーンはドラゴンより力の劣るものとされていて、知能が低く 竜騎士に代表されるような家畜やペットとして扱われている場合があります。 大抵は大きな翼を持ち空を飛びます。 ドラゴンとの外見の区別として前足が短い、もしくはないものが多く 噛み付きが主な攻撃手段であり、炎や酸、氷などを吐きません。 細かい点は作品によって色々ですが。だいたいこんな感じです」 ワイバーンは、ゲームによっては棘のある尾を持つトカゲのような動物であったり 空を飛ぶトカゲの総称であったりと様々だ。また、日本語ではワイヴァーンと 表したりもする。ドラゴンも同様にドラグーンや龍と表すことがある。 ペラペラ 「ドラゴンの亜種として他に、ドレイク、レッサードラゴンがあります。 厳密には違いますが、これらはどれも力の弱いドラゴン としてワイバーンひとまとめにして考えてもいいでしょう」 「問題は亜種のワーム、翼や足の欠けたドラゴンです。 ワームは巨大な体躯と力を持つドラゴンで、知能についてはまちまちです。 西の神話の竜はドラゴン、東方神話に出る龍はワームの部類に入るでしょう。 ドラゴンに比べ、比較的多い頻度で物語の怪物として登場します」 西洋のドラゴンは火を噴く、街を焼き尽くすなど火のイメージから来ていることが多い。 キリスト教のサタンからのイメージが強いのだろうか。姿は翼のあるドラゴン型だ。 火吹き竜として有名なサラマンダーだが、もとは周囲を冷やすトカゲとして伝わっていた。 火を噴く竜と冷やす竜、変温動物としてのトカゲが神話の土台となっていると考えられる。 対して東洋のドラゴンは雨乞い、洪水など水の印象が強い。 姿はワーム型。モデルは蛇、湿気の多い場所に生息し、脱皮をすることから輪廻転生や 不老長寿の象徴とされる。陸に生息するドラゴンに対して龍は湖や海に住む。 リュウグウノツカイや鯉の滝登りなどの水生生物に関する物語が多い。 火と水の関係から、ドラゴンは破壊を司り龍は再生を司っているとされている。 火は山火事などで全てを焼き尽くすがために否定的、 水は雨を想像させるがために肯定的なものとされている。 ペラペラ 「落ち着きなさい。ファンタジーな方面に詳しいのは痛いほど理解した」 「えっ、あっう!?」 茂人ははっと我に返った。 耳まで赤くする。 「すみません。取り乱しました」 「語学が堪能でファンタジーが好きな茂人君にぴったりな仕事がある」 武原はとびっきりの笑みをしている。 してやったりといった表情だ。 「茂人君にはダークエルフとの交渉を担ってもらおう」 「ダークえるふ」 「茂人君の考えている通りのダークエルフだ。 褐色で耳が長くプラチナの髪、しかも美女。興味を惹かれるだろう?」 懐から2枚目の写真を取り出した。 褐色で耳が長い豪奢な鎧を着たエルフが血に濡れた地面に倒れている。 長い睫毛、滑らかな褐色の肌、肩まであるプラチナブロンドの髪、整った目鼻。 ここまで均整の取れた顔立ちはモデルでもそうはいるまい。 とてもよく出来たコスプレ写真だった。写真集が出せそうだ。 耳の長いエルフ。よりにもよってマニアックなダークエルフ。 総理は私をからかっているんじゃないか。 「頭の中が表情に出ているぞ。 近頃、我々の周りに奇妙な隣人が越して来てね。 いや、我々が越してきたとするべきか」 「?」 「この道をいけばどうなるものか危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし踏み出せばその一歩が道となり その一足が道となる迷わず行けよ」 行けば判るさ、一休さんか。面白そうじゃないか。 「ダークエルフと交渉の件。承りました。 でもどうしてですか、私より神話や伝承に詳しい研究家なんていくらでもいますよ」 「交渉には広い視点が求められる、相手は異種族で異民族で異世界人だ。 我々の常識は利かんが、エルフやドワーフ、彼らと我々の常識は多少通じる部分もある。 エルフは魔法を使い、ドワーフは鍛冶が得意だ。中世風の鎧を着て剣を持っている。 これは我々の想像する典型的なファンタジーと同じくする。 彼ら相手には柔軟な対応が求められ、交渉のための知識も必要だ。 常識外を相手にするには深い知識はかえって邪魔になる。 しかし交渉を望むには精神的な土台と最低限の知識を持っていなくてはならない。 固定観念に囚われた、外交に縁のない神話研究家ではいかんのだ」 「そこで、君に白羽の矢が立った」 ギーグなのは隠していたつもりだったんだけどなあ。ばれていたか。 「外に車が出ているから乗りたまえ。それと茂人君には封筒も渡しておこう」 棚からファイルを取り出した。中には封筒が入っている。 茶封筒に入った大きいものと 「現地についてから開くといい」 青い便箋サイズの小さな封筒 「こっちはエルフと会った後に開くものだ」 「了解しました」 「此方です。どうぞ」 総理官邸から車に揺られ、乗り換えること三回。 研究所らしき場所についた。何処かの企業っぽい建物だ。 作業員用勝手口から通される。 入り口にはエアカーテンと吸着マットが敷かれていて、査察で見たような 精密部品や薬品を扱っているような工場に近い印象を受けた。 壁に複数の穴があいた通路に入ると、壁から温風が噴出し埃を取った。 いくつかのスライドドアとエアロックを抜けると、監視所らしき場所に通される。 「ようこそ。田中茂人さんですね。お待ちしておりました。 研究主任の黒桐中人(こくとうなかひと)です。Nでも黒人でも気軽に呼んでください」 人払いを済ませた後、部屋には荒沢と私だけが立っていた。 荒沢は20代に見える研究員で、主任にしてはとても若い。 男か女か判断に困る中性的な顔立ちをしていて、蠱惑的な瞳が印象的だ。 「部屋は完全防音ですから話しても大丈夫ですよ」 「エルブ王国?から来たダークエルフ?の親善大使と交渉をする手筈だったのですが」 怪しい雰囲気だ。もしや私は嵌められたのではなかろうか。 物体Xの実験台にされたり、人体実験の材料だったり。 バイオハザードな下らない妄想が脳裏を駆け巡る。 「はい。おっしゃる通りです」 「竹島戦で韓国軍が戦闘した相手、について知っていらっしゃられますかな」 「詳しく話を聞きたいですね」 「首相からお話は聞いておられますかな」 そういえば封筒を開いていなかったな。 「資料を貰っていました。現地で開けと言われていた物がありますね」 「では、それを見ながら説明いたしましょう」 荒沢がリモコンのボタンを押すと、部屋の窓が動いて隣の小部屋の様子が見える。 部屋のベッドには褐色の肌、プラチナブロンドの美が付く幼女が眠っている。 「竹島戦で韓国軍が殲滅されたのは知っていますね」 「ええ」 近々、TVで公式発表される予定の情報だ。世間では既にTSBが未公表情報をスッパ抜き、 世間では何処が攻撃してきたかと騒ぎになっている。 「今後の報道では中国でも韓国でも露西亜でもましてや亜米利加でもない“正体不明の敵”と戦い、 一人残らず殲滅されたと“言われます”」 「ええ」 じゃあ何処の国が襲ってきたんだ、それ以前に日米同盟はどうなったんだ!? 驚愕を抑えつつ、話を促した。 「おや?驚かれませんな。知っておられましたか」 知るはずないじゃないか。 「失礼。それはこれから報道されるんでしたね」 「もちろんですとも」 さりげなく念を押して確認をした。 「韓国軍を襲撃したのは謎の生命体群です。通信テロから数時間後、 体長7mの巨大な空飛ぶトカゲが海の向こうから襲ってきました。 しかも100匹近くの大群です。自衛隊は必至の抵抗を試み、日本海側に戦力を集結。 戦力集中の結果が国境封鎖と自衛隊の防衛出動です」 そういやネットで話題になってたな。UMAを確認したって。 「それらがベッドで眠っている子供とどう関係が?他の国はどうなったんですか!」 「結論を急がないで下さいな。謎の生命体郡は現代科学の常識を覆す生態をしていてですね、 信じられない巨体で空を飛んだり、ある種の『超能力』まで使うんですよ。とても興味深い。 私達研究チームは『魔法』と呼んでいますが」 「通信が途切れた理由は」 「日本の外で大規模な戦争が起こったと考えられています。 核や細菌兵器、サイバー攻撃などが一斉に行われました。 その結果として日本国内のインターネットをはじめとした通信機器は一斉に遮断。 衛星も一度に破壊、又は無力化されました」 話が大きすぎて現実味がない話だなと思ってしまった。 同時に突っ込みどころがある話だと。 「ネットが破壊されるはずがない。リスク分散のために無数の独立したサーバーから成り立っている」 「インターネットの破壊は不可能だと思われていますが、実はそうでもないんですよ。 とあるクラッカーは「30分あればインターネットをダウンさせられる」と言いました。 ネット環境の普及のためにはデータ形式や管理方法を並列化させないといけません。 OSや防火壁は常時進化していますが、その根幹を支える管理システムそのものはさほど変わりません。 そこをトロイで偽装したボットが同じ時間に一斉攻撃をかけるとシステムは広域にわたって停止します。 Dos攻撃に代表されるように、ネットは負荷が一箇所にかかると停止します。 一定以上の負荷をかけられると枝葉末端まで連鎖的に壊滅するのですよ」 「簡易なアナログ回線まで壊滅したのはおかしい」 「そのネットを支え、補助しているシステムが壊れたんですよ。中継局や中継器までね」 海外との通信が切れたせいで大騒ぎになっている。 事件当時、大慌てで職員総出で大使館の機械を全部壊れているか確認した。 「日本だけが無傷で残るのは不自然だ」 「偶然残ったのですよ。外を歩いているだけで隕石に直撃される世の中です。 戦争で偶然生き残った国家があってもいいでしょう。 日本も甚大な被害を受けていますよ。貿易を絶たれるだけで明日の食事すらままならない」 「アメリカは軍事大国だ。簡単に壊滅しない」 「過去に新しい戦略や戦術導入によって滅びた大国など星条旗の数ほどあります。 裏付けとなる写真が此方です」 ひゅうがの甲板に貼り付けられたワイバーンの死骸。 おおすみに牽引されるニンゲンの死骸。 戦闘機の機関砲で粉砕されるネッシーの動画。 「全長7mの竜の死骸、体長数十mもある人型クジラニンゲン、6mもあるネッシー。 どれも現代科学の常識を超えています。居ると言われ続け、確認されていなかった動物達です」 「私達の予想外の事態が進行している証拠です。 航空自衛隊によって殲滅され、海上自衛隊によって運搬された死体が段階を得て、 国民の皆様に晒されることになるでしょう」 「他にも裏付けとなる証拠があります」 船から撮られた海の写真だ。 「本来はユーラシア大陸、中国があった場所の写真です」 「海だけじゃないか」 「中国の一部が大きく消滅しています。えぐれた湾から察するに、 大規模な核攻撃やそれに類するものがあったと考えられています」 「写真は嘘だ。ありえるはずがない」 「まだ証拠があります」 島を埋め尽くす死体。“鎧を着た”蛮族達。剣や槍、地面に刺さった大量の弓矢。 「エルフやドワーフっぽい死体だな。映画の撮影か」 「いいえ、違います。メディアにはまだ伝えられていませんが、“外からの侵略者”達です。 彼らは超能力、魔法を使い、竜に乗ってやってきました。自衛隊が撮った映像を見ますか?」 「いや、いい。やめておく」 「死体役は全員エキストラかな」 「いいえ。違います本物です。私達はこんなに大量の小人病患者、ドワーフを用意できません。 死体に見せかけた役者を大量動員して凝ったメイクをしても、死体鑑定で簡単に判別できます。 良い検体がありますが、直接死体を拝見なされますか?」 「遠慮しておくよ」 「残念だ。彼らの体はとても興味深いのに。ミュータントですよ、突然変異ですよ。 ヴィールスで変異したのでしょうか。とても面白い症状だ」 「さて、信じてもらえましたか?」 「信じるしかないだろう」 中人は満足そうな笑みを浮かべたあと言った。 「全部フィクションです」 「は?」 「ええええええええええっ!?」 長話して引っ張っておいて最後の言葉がそれかあああ! 「・・・・とここまでが、今夜発表される政府発表です」 「が」 「真実は別にあります。そのためにあなたをお呼びしました。 政府発表は嘘ですが、真実も限られた含んでいます。 少なくともあなたと私、ごく限られた小数の人間以外には真実でしょう」 中人の瞳に嘘はない。淡々と決められた話をしていた感じだ。 「専門化が断定し、十数万人の自衛隊が動き、日本の通信が一斉に遮断され、 ミュータントが実際に襲ってきて、それを説明できる理由が信頼ある政府から説明されたら それは本当になる」 「現実は常に考えられる最悪の下を行く、かな」 「おっしゃる通りです」
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544 名前:始末記[sage] 投稿日:2016/01/26(火) 16 04 10.99 ID SSjyzBtv ブリタニア海軍 タイド型給油艦 『タイドスプリングス』 ブリタニアとは、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの在日住民や訪日同国人、彼等の配偶者となった日本人が建設した大陸の都市である。 英国系一万九千人、カナダ系一万三千人、オーストラリア系一万三千人、ニュージーランド系四千人、その他合わせての約五万人の人口を有している。 海軍が中心でありANZAC級フリゲート2隻を保有している。 空軍も組織されAP-3C対潜哨戒機1機やエアバス A400M中型輸送機アトラス1機を保有している。 何れも日本に来日、或いは近海を航行中に転移に巻き込まれた兵器と乗員達である。 今回新造された給油艦『タイドスプリングス』は、2012年に英国が韓国・大宇造船海洋に発注した新型給油艦4隻のうちの1隻である。 2016年より順次就役するはずだったが日本とともに転移した巨済島の巨済市大宇重工業玉浦造船所で一番艦として建造されていた。 転移による混乱と資源不足を得て放置状態となっていたが十年近くの遅れをえてようやく就役したばかりの艦だ。 二重底構造の軍用タンカーである。 海上保安庁から旅客船『いしかり』の護衛の要請を受けたが、艦長のチャールズ・ブロートン中佐は困惑していた。 状況を確認の為に艦を停止させていた。 「普通、海賊からの護衛任務とかを給油艦に振るか? 海上保安庁はこんな無茶苦茶な要請をしてくるところだったか?」 「大陸の海軍や海賊の船ならこの艦の武装でも十分に対処可能ですからね。 まあ、行くしか無いでしょう。」 幸いタンクに油は積んでいない。 急ぎの任務もありはしない。 副長の言葉に頷き、ブロートン中佐は命令を下す。 「機関再始動だ。」 「両舷始動!」 「両舷始動ー!」 「針路、速度そのまま、旅客船『いしかり』とのランデブーポイントを目指す。」 旅客船『いしかり』 「レーダーに船影、多いぞ。」 レーダーのディスプレイには19隻の輝点が表示されている。 「海保や海自の艦じゃないのか?」 平塚船長がレーダー担当の航海士に確認をとる。 「南西2-2―0から向かって来ます。 海賊の船団です!!」 「全船員に通達。 海賊船団をレーダーに捉えた。 だが今の速度なら十分に逃げられる。 各員、乗客を不安にさせないようにベストを尽くせ。」 放送では乗客にも聞こえてしまう。 メモを取った大谷副長が各部署を回るのだ。 だがそれより早く船は捕捉されていた。 私掠船『食材の使者』 ドーラク船長は窓穴から顔を出して、頭上に広がる海面を確認する。 目標の日本の船舶がこちらに向かっているのが目視出来る。 海底に視線を移して、程よい浅さなのに満足する。 「来たな・・・、歩脚を海底に固定、第一脚・・・、鋏め!!」 ドーラク船長の号令のもと、『食材の使者』号は第2・第3の対の脚を海底に挿し込み固定させる。 そして、海面に向けて放たれた第一脚の対をなす鋏が『いしかり』の船底を挟み、錨代りにその動きを大幅に制限し減速させる。 通常の錨は海底土砂に食い込み、海底面を擦ることで成立する。 だが『食材の使者』号も減速どころか加速させていた『いしかり』の重さと馬力に引き摺られている。 揺れる船内に船員達は船壁の手摺りに掴まって対処している。 「なんというパワーと固さだ。 木造船なら完全に船底を切り裂いているものを・・・、こちらが引き摺られているか? だがこれで船団が追い付ける。」 旅客船『いしかり』 突然の船底からの衝撃と強制減速に船員や乗客達は身を投げ出されていた。 「海底に何かいます!!」 「馬鹿な、なんだというんだ。」 相手が海底にいる為にその姿を確認することが出来ない。 だが複数の船影が目視で確認出来る位置まで近づいていた。 「速度低下、24・・・、23・・・22・・・」 「距離6海里といったところか?」 平塚船長は助け起こしてくれた男に命令する。 「無賃乗船を拒否する。 丁重にお引き取り願え、高嶋隊長。」 「参ったなあ、隊員は銃を持たせただけの警備員なんですがね。」 船に乗船している武装警備員は七名。 隊長の高嶋こそ元自衛官だが他の隊員は警備会社の社員に過ぎない。 隊員達に実戦の経験は無い。 弾薬の浪費を会社が嫌がって射撃訓練も年2回の研修の時にしか出来ない。 高嶋は勝田駐屯地に勤務していた際に大洗町海賊襲撃事件で実戦を経験して負傷している。 家族の要望で退役し、大手警備会社に雇用された。 この当時、自衛隊、海保、警察を初めとする各武装機関の増員により、過去に除隊、退役した退職自衛官を大幅に復帰、採用させた。 転移当時警備業者約9,200社、警備員約53万人を擁していた警備業界は6万人近くの人員を失い、新たに一般人の雇用を創出した。 だが警備業界が考えていた新世界に対応する為の武装警備員の構想は大幅に後退した。 そんな中、自衛官から業界に入社した高嶋のような人材は重宝された。 政府は民間の武装組織の存在に眉をひそめたが、現実問題日本の長い海岸線や輸送ルートの防衛を現行の自衛隊や警察力だけでは不可能と判断した。 だが試験的な段階であり、信頼のおける業界第二位の会社に創設を許可した。 まだ、危険の少ない船舶の警備から訓練を終えた隊員とともに高嶋は隊長として乗り込んでいたが隊員達の練度は自衛官や警察官には及んでいない。 この船に保管されている武器はベレッタM92拳銃、SKB MJ-5散弾銃が隊員の人数分ある程度だ。 弾薬は予備の弾倉が人数分ワンセットだけだ。 「速度17まで低下、以後安定!!」 「後続より1隻早いの来ます!!」 「四の五の言ってる場合じゃないな。 わかった隊員を配置させる。」 海賊船団 旗艦『漆黒の翼』 「よし、『食材の使者』の連中がやってくれたか、それでも早いな。 安心しきってるだろうな日本の船は・・・、船首に大砲を用意!!」 これまでの帝国が使用してきた大砲は、鋳造の青銅製前装式滑腔砲である。 開発責任者だった人物の名前をとって、ライヒワイン砲と呼んでいた。 だが船首に台車に乗って運び込まれた大砲は施条後装砲である。 日本をはじめとする地球系都市国家からかき集めた情報をもとに帝国でも再現可能な技術で完成させた試作品である。 この一門を造り上げるのに五年の歳月を掛けた。 最大射程はこれまでの十倍、有効射程は六倍にまで飛躍した。 ピョートル船長は『いしかり』まで、5海里の距離までに近付くと、この新型砲の発射命令を出した。 「当てる必要は無い。 連中に大砲が届くと認識させることが出来れば十分だ。」 発射された砲弾は『いしかり』の前方3キロの地点に着弾した。 『いしかり』は驚いたのか回避の為にジグザグに動きだし、さらに距離が縮まっていく。 「素晴らしい!! この大砲をピョートル砲と命名する!!」 気をよくしたピョートル船長はそのまま命名の経緯を書いた手紙を伝書鳩をアジトに向けて飛ばさせた。 「しかし、これでも連中に取っては200年も前の技術とは・・・」 副船長は新型砲の威力に驚愕しつつ、海自の艦船の大砲やミサイルとの差を痛感している。 「まったく、たった200年の間にどれだけ技術を発展させてきたんだろうな。 おかしいだろあいつら・・・ まあいい、こんな機会はそうそう無いんだ。 接舷攻撃用意と露払いの射撃開始!!」 右舷に集まった船員達が小銃で射撃を始めた。 『いしかり』からも武装警備員達が発砲して反撃してくる。 同時に『漆黒の翼』からバリスタに鎖が括りつけられた鉤爪が複数発射されて、『いしかり』の船縁に引っ掛かる。 鎖は『漆黒の翼』に固定されていて、船自体が重りになっていく。 船体が軽い『漆黒の翼』は曳航される形になるが激しい揺れが襲う。 そのまま『いしかり』の真後ろまで流されて行くが、離されなければ十分だった。 そして、『漆黒の翼』の両側から海賊船団でも『漆黒の翼』に次ぐ船脚を持つ『生より出でし蒼白の武神』号と『正義を操りし月夜の咎人』号が『漆黒の翼』を追い抜き、『いしかり』の両舷の船縁にバリスタから鉤爪の付いた鎖や網を打ち出している。 残りの16隻も追い付いて来ているが、突如として最後尾にいた『理に牙剥く不死の双子』号が爆発炎上した。 「なんだ?」 ピョートル船長が望遠鏡で確認をとると、忌まわしき飛行機械が大空を飛び回っていた。 「ヘリか? くそっ、こんな時に」 旅客船『いしかり』 その光景は苦戦中の『いしかり』からも確認出来た。 「船長、ヘリから通信!! あの機体はブリタニカ海軍の給油艦『タイドスプリングス』所属機、コールサイン、ハンター3です。」 「救援に感謝すると伝えろ。 給油艦だと?」 なぜ給油艦が救援に来たのか平塚船長は困惑していた。 3隻の海賊船から網や鎖を伝って乗り移ろうとしてくる海賊達を武装警備員達は懸命に撃退していた。 銃弾の弾丸だけではじり貧になると、消火ホースを持ち出して放水で網や鎖にしがみつく海賊達を海に叩き落としていく。 一分間に2,000リットル、送水圧5キロの放水は容易に人間を吹き飛ばす。 おまけに海水をポンプで組み上げて転用できるので無尽蔵に防水が可能だ。 「ポンプで汲み上げている間だけ銃器で対処しろ。」 マニュアルどうりに今のところ対応できている。 武装警備員と言っても所詮は民間人。 いきなり人間を射殺する覚悟などあるはずがない。 放水による迎撃は意外にいいアイデアかもと高嶋は思えた。 「苦肉の策だったんだがな。 普通は1隻相手に十数隻もこないから、銃弾もそんなに支給されなかったからな。」 海賊の数が想定を越えていたから考えた策だった。 後方の海賊船団に目をやると、爆発する海賊船の姿が飛び込んできた。 「騎兵隊のお出ましか、もう一踏ん張りだぞ、お前ら。」 ブリタニア海軍 対潜哨戒ヘリ 三菱 SH-60K『ハンター3』 SH-60Kは海上自衛隊がSH-60Jを基にして、三菱と防衛庁で独自に、哨戒能力の向上を目指した哨戒ヘリコプターである。 転移後も少数ながら生産され、ブリタニア海軍の『タイドスプリングス』の搭載機として配備された1号機である。 最後尾にいた『理に牙剥く不死の双子』をAGM-114M ヘルファイアIIを直撃させて葬ったところだった。 「次、2隻目!!」 いっきに船団を飛び越えて、『いしかり』に接近中の先頭の船に二発目のヘルファイアIIを発射して命中させる。 これでヘルファイアIIは使いきったが船団はまだ17隻もいる。 炎上する海賊船を避けるように船団は左右に分かれていく。 SH-60Kは、浮上して斜めに傾くとのスライドドアが開く。 ベルトで体を固定した射撃手が74式車載7.62mm機関銃がドアガンとして発砲を開始する。 銃弾の雨に晒された海賊船は甲板から降り注ぎ、床を貫通して二つ下のデッキまで血で染め上げる。 各海賊船からも矢や小銃がSH-60Kに向けて放たれるが、海上を舞う機体に当てることも出来ていない。 2隻目も血祭りに上げるが弾薬が不足してきた。 「こちらハンター3。 弾薬が尽きた、一旦母艦に戻るがなんとか持ちこたえくれよ。」 『了解、早く戻ってきてくれよ。』 海賊船『漆黒の翼』 ブリタニアのヘリが去ったことにより、ピョートル船長は胸を撫で下ろした。 「やっと行ってくれたか・・・、被害報告!!」 「『理に牙剥く不死の双子』、『暗黒の支配者』、炎上!! 『残虐非道の歌姫』、『黒薔薇を持つ悪女』沈黙、航行不能の模様!!」 船の名前を聞いてピョートル船長は頭痛がしてくる。 「4隻もやられたか・・・ しかし、どうして海賊の連中は船の名前を豪華に飾り立てるのだろうな? 「まあ、色々と拗らせやすい職業ですから」 副船長はピョートルも同類だと思っていたが言葉にはしなかった。 「まあ、いいヘリが引き揚げたから当分は戻ってこない。 今のうちに」 「ヘリが戻ってきました!!」 言い終わらないうちにヘリがこちらに向かってくる光景が目にうつる。 その新たに現れた同型のヘリの胴体には『海上自衛隊』と書かれていた。 その後方の水平線の彼方からはつゆき型護衛艦の『いそゆき』が姿を見せていた。
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200番 博多駅・福岡タワー〜天神〜今泉〜六本松〜荒江〜早良営業所 快速 2011-04-24T17%3A06%3A58-e3244.jpg 快速はJR博多シティ連絡の臨時系統で、 普段は急行系統すらない。 お客さんは飯倉くらいからしか乗らないので無意味かもしれないが、 普通は10分間隔で博多駅・福岡タワー系統が交互になる。 一部時間帯は新設した500番と天神で連続をする。 その場合陽光台発着となる。
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439: 昭和玩具の人 :2019/01/30(水) 21 43 38 HOST p3125028-ipngn20501hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp (修正版) 日本国海上自衛隊 DDB-11 ふじ型打撃護衛艦 全長 248m 全幅 32m 喫水 9.2m 基準排水量 24000t 満排水量 32000t 機関 COGLAG方式 LM2500IECガスタービン 28000ps 六基 電源 LM500-G07ガスタービン主発電機 3500kW 四基 速力 30ノット(公称) 乗員 450名 レーダー FCS-3A 一基(四面) OPS-20C 一基(主・副アンテナ各一基) その他多数 ソナー OQQ-22 統合ソナー・システム その他多数 兵装 五〇口径356mm連装砲 三基 OTO 76mm速射砲 四門 Mk.41VLS 64セル 90式SSM四連装発射筒 二基 三連装短魚雷発射機 二基 20mmCIWS 四基 12.7mm機関銃 二丁(搭載武器扱い) 440: 昭和玩具の人 :2019/01/30(水) 21 44 36 HOST p3125028-ipngn20501hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 概要 近年の情勢悪化に伴い海上自衛隊が計画、建造した(実質的に)戦後初の戦艦。米海軍がエイブラハム・リンカーン級戦艦(以下、A・L級)を建造したものの、海自は戦艦(またはそれに匹敵する艦艇)を建造する気はなかった。しかし、もはや公然と敵対国家として扱うことになった隣国がA・D・M級戦艦を就役させるという情報がもたらされたため、また島嶼奪回作戦時における陸自部隊の上陸作戦前の梅雨払いとして、高火力を叩き込むことが出来る艦が自前で欲しかったため(神崎島の部隊に要請することは可能だが、出来れば自由に動かせる戦力が欲しかった)、戦艦に相当する艦艇の建造をするに至った。 とはいえ、神崎島からの援助があるとはいえ、予算に余裕があるわけでもなく、人員も不足気味な海自はハナからA・L級のような超巨大戦艦を運用できるとは思っておらず(他もいずも型の空母化———もとい、多目的母艦化など、必要な装備はいくらでもあった)、必然的に多少背伸びしつつも、概ね身の丈に合った戦艦———打撃護衛艦の整備に着手することになる。 本型の特徴は何といっても前部に二基、後部に一基設けられた五〇口径356mm連装砲で、神崎島からの援助によって開発された砲である。 356mm砲はA・L級の51cm砲に比べると非常に小口径だが、それでも従来の艦砲とは比べ物にならないほどの威力を誇る。 この砲は砲身冷却システムや自動装填装置の採用により、6秒に一発という高速連射を可能としており、本型一隻だけで一秒間に一発の356mm砲弾を50km以上の遠方に投射することが出来る。また誘導砲弾を使用すれば300km以上の射程を誇るなど、これまで海自が有していなかった遠距離攻撃能力が付与されている。砲塔は当初三連装砲を予定していたが、予算と重量の関係上連装砲塔となっている。 しかし、このおかげで旋回性能はギリギリ対空戦闘が行えるレベルに達しており、いざというときは一隻当たり分間60発の356mm砲弾による弾幕形成が可能である。 441: 昭和玩具の人 :2019/01/30(水) 21 45 18 HOST p3125028-ipngn20501hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 艦橋構造はむらさめ型護衛艦の艦橋をそのまま拡大し、八角錐状の塔がその直後に起立している(キーロフ級巡洋艦の艦橋をイメージしていただければ)。この塔には各種レーダーが装備されており、FCS-3Aも四面全てがあさひ型護衛艦の後ろ二面のように縦に設置されている(ただしスペースの関係上、上下は逆)。全体的にステルス性が意識されているが、大々的に取り入られてはおらず、おおむねあきづき型、あさひ型レベルに留まっている。 後部艦橋はおおむねあきづき型、またはあさひ型に準じるが、ヘリ格納庫は存在せず、代わりにMk41VLSが計64セルが埋め込まれている。 この配置はVLSというミサイル格納庫を船体から完全に露出させることにより、被弾した際の誘爆を外部に逃がすことを目論んでいる(元々爆風は上部に逃げる構造になっているが)。VLSにはESSM(発展型シースパロー)や07式垂直発射魚雷投射ロケットが収容され、LAD(僚艦防空)能力を有している。 両舷には西側諸国で多く採用されている傑作艦砲、オットー・メラーラ76mm砲(ステルス型砲塔)を前後二基、計四基配置し、主に対空戦闘及び低脅威度目標に用いられる。また前後砲塔の中間あたりに20mmCIWSを一基備えており、両舷のほぼ中央と艦橋前部、艦橋後部(VLS手前)に配置することで全周にわたっての射界を確保している。また三連装単魚雷発射管と投射型静止式ジャマー、自走式デコイを両舷に各一基装備しており、対潜戦闘能力も充実している。 後部第三主砲後部にはV-22オスプレイすら離着艦可能な広さを持つヘリ甲板を有しており、格納庫がないため常時運用は不可能だが、航空機運用設備は一通り揃っている。 本型は二隻が建造され、一番艦が「ふじ」、二番艦が「あそ」と命名され、それぞれ、横須賀、呉を母港としている。艦種こそ新しく作られた打撃護衛艦DDB(Blow-Destroyer)に分類されているが、非公式の艦種記号であり、公式には汎用護衛艦(DD)として運用されている。サイズこそいずも型に匹敵する大型艦ながら機動力が高く、対空、対艦、対潜戦闘能力全てが高い次元で纏まっていることから、単艦での運用が可能となっている。 この使い勝手の良い艦を手に入れた海自は、戦艦に相当する艦艇としては比較的安価なことと、省人化による乗員の少なさからもう二隻の追加建造も計画したが、予算不足により断念した。しかしイギリスを筆頭とする友好国が興味を示しており、準同型艦が建造される可能性がある。 なお本型が公試に入った直後、艦内で海上自衛隊初の艦娘が発見されるのだが、その話はまたの機会に。 442: 昭和玩具の人 :2019/01/30(水) 22 07 21 HOST p3125028-ipngn20501hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp 以上修正版でした。掲載する場合はこちらでお願いします。
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2004年6月27日 13時24分 北九州市若松区本町 土井田高子事務所 「ご自由にどうぞ」とカンバンのある扉を村山はそっと開けてみた。こんな文句のあるところほど、一般人にとっては敷居が高いのが相場だ。そっと中を覗いて みる。乱雑に並べられた事務机。多くの電話。パソコン。コピー機。壁には多くの革新系の政治家からの激励文が貼られているが、よく見てみると同じ人物の激 励文がコピーされて複数枚掲載されている。見かけ倒しだった。 「こんにちは!どうされました?」 いきなり、緑のウインドブレーカーにさわやかな笑顔の40代の女性が声をかけてきた。絵に描いたようなクリーンなイメージだ。 「あ、あの。こちらでお手伝いを募集していると聞きまして・・・」 村山の言葉に、彼女は奥に走っていって直属のリーダーらしき女性に何か耳打ちしている。事務所では多くのスタッフが動き回っている。 「運がいいですわねぇ。ちょうど、土井田先生がお時間があるそうなので。いろいろとお話を聞かれてください。こっちも人手不足で大歓迎です!」 先ほどのスタッフに案内されて、奥のドアに導かれた。事務所を横切る間にも多くのスタッフが過剰なさわやかさで村山に口々に「こんにちわ!」と挨拶してくる。 「さあ、先生がお待ちです」 そう言ってスタッフはドアをノックした。「どうぞ」と言う声を確認して彼女はドアを開ける。 「先生。ボランティア希望の方が見えられました。さあ・・・」 スタッフの女性は村山を部屋にはいるように促してからドアを閉めた。中には50代くらいの電話中の女性がいるだけだった。質素な机の上にある電話に受話器を置いた。彼女はさわやかな笑みを浮かべると、村山を応接セットに招いた。 「失礼します・・・。村山と言います。小倉に住んでいるんですが、最近失業しまして。で、せっかくなので今後の日本の行く末を占う選挙のお手伝いができればと思いまして、お伺いしました」 村山の向かいに座った土井田は軽く握手を求めると、さっそく質問を始めた。 「それは大変でしたね。で、お仕事は何を?」 「はあ。一応、営業を・・・」 100%嘘の身の上話を村山はすいすいと彼女に語る。どこまで彼女が信じているかはわからないが、とにかく、営業職を失った失業者村山を演じてみた。 「村 山さん、よく来てくださいました。私はこの選挙に勝利した暁には、失業者には手厚い保険を、失業寸前の苦しい労働者には雇用の確保を、そして、この不景気 の元凶となっている浅川政権の軍備拡張政策と、それに乗じて戦争を押し進めるガシリア王国を徹底的に追及するつもりです」 こいつ、ガシリア王国 とアジェンダ帝国の歴史を知ってて言っているのか?思わず表情に出してしまいそうになった。しかも、この九州の不景気解決の一助になればと、移民を受け入 れ、「工芸品」名目で武器を輸出させて買い取っているのは他ならぬ、ガシリア王国大神官のドローテアだ。さらに言えば、その武器の原料となる鉄や、アル ミ、石油などの原料を安く売っているのも彼女だ。おかげで召還直後と比べて失業率は目に見えて低下している。詭弁もいいところだ。 「さらには、戦後60年平和を守ってきた憲法9条をないがしろにして、自衛隊をガシリアに送り、アジェンダ帝国を侵略している浅川知事に代わって、私はアジェンダ帝国に謝罪し、即座に自衛隊の撤退を実現したいと思っています。」 村山は思わず寒気がした。こいつ、本当にガシリア王国の歴史を学んでいない。行け行けドンドンで最初に戦争を始めたのはアジェンダ帝国。そしてそれに押さ れまくって滅亡寸前だったのがガシリア王国だ。しかも、30年に渡った戦乱で多くの人々が命を落としていた。それを武器の輸出と自衛隊の後方支援でどうに か勝利を収めようとしているのが今の現状なのだ。そもそも、浅川含め今の政治家が誰もアジェンダと接触していない状況というのに。半分、自分はアジェンダ と通じていますって自白しているに等しい。 「なるほど、土井田先生のお話はよくわかりました。ただ、お手伝いさせていただくに当たって、私からもお聞きしたいことがあるのですが?」 ここで気をつけなければいけないのは、相手を論破してはいけないことだ。その気になればできる所行だが、今の村山にはそれはタブーだった。 「憲法の規定で自衛隊も企業も撤退します。そうなったら、我が国は鉄や石油をどうやって入手するのですか?ガシリアもアジェンダもやる気満々で戦争をしていますが・・・・」 「そうです。そこで、私たちは、両国に即時停戦を提案するのです。」 「何を条件に?」 「我が国の持つ技術供与です。技術のすべてを彼らに与えるのです。そして平和憲法の理念を説くのです」 「でも、技術だけ受け取って勝手に戦争を始めることもありますよ」 「それは平和憲法の理念を与えたら、あり得ないことです」 「は、はぁ・・・」 ほとんど禅問答に近い状態だったが、それでも村山は質問を続ける。そうでもしないと、たとえ仕事とは言え、この連中と行動を共にできそうにない。 「なるほど・・・。では現在九州に潜伏中で先日の小倉のテロも裏で糸を引いていたドボレクも、平和憲法の名において、テロ行為を止めてくれるんでしょうか?」 「もちろんです。彼がこのような行為に走るのはガシリアの侵略行為で彼の領地が陥落したからです。戦争を止めて、ガシリア軍が撤退すれば彼の行為は止まります。」 「まるで、本人から聞いたようなお言葉ですね」 その言葉に土井田はにこやかだった顔をぴくっとさせた。ちょっとつっこみすぎたかな、と村山は警戒した。だが、それも数秒ですぐににこやかな顔に戻った。 「でもきっと、ドボレク氏もそう思っています。その後、日本もガシリアもアジェンダも武装解除して国家も解散すれば、永久に平和になります。これが私の理想です」 こんな子供でも描かない理想で選挙に立候補して、少なからぬ支持を集めているのだから、日本人はつくづく脳天気だと思う。だが、村山はそれを顔に出さずに笑顔で言った。 「すばらしい!もとの世界では実現できなかった平和主義を実現させるんですね!ぜひ、お手伝いさせてください!」 2004年6月27日 19時55分 北九州市小倉北区京町 村山の事務所 万が一の尾行の可能性を考慮して、村山は事務所兼寝床に直帰した。あの面接から数時間、彼は土井田流の平和哲学の講義をみっちりと受けさせられたのだ。 「おかしくなりそうだ・・・」 冷蔵庫からビールを取り出して、ソファーに乱暴に座ってそれをあおる。彼女は全然理解していない。いや、理解しようとしていない風に思えた。それは村山の 仕事にとって関係ないことであったが、それでも気分のいい物ではなかった。まるでドローテアやヴェート王が侵略者でドボレクがそれに追われた哀れな被害者 のような物言いに腹が立って仕方がなかった。 「疲れているようだな・・・・」 事務所の奥の暗がりからドローテアが不意に声をかけた。勝手に入り込んで帰りを待っていたようだ。 「いたのか・・・、まあ、飲んでくれ」 そう言って村山は顎で冷蔵庫を示す。彼女も無言で冷蔵庫から缶ビールを取り出すと村山の向かいに座った。缶を開けて軽く一口飲み干した。 「土井田だが、どうだった?」 「ひ どかった。ヴェート王や君は侵略者で、ドボレクは君らに追われた被害者。しかたなく、侵略国ガシリアに手を貸している侵略国家日本で、抗議の意志でテロを 行っていると。だから、日本が自衛隊も企業も撤退させて、ガシリアとアジェンダが休戦すればドボレクもおとなしくなる。すべては戦争を始めたガシリアとそ れを支援する日本が悪い、とさ・・・」 それを聞いてドローテアは怒るどころか、きょとんとした。 「冗談だろう?」 「彼女たち的には本気みたいだ・・・・」 その言葉に大神官は思わず笑った。怒りを通り越したのだろう。それと同時に疑問が沸き上がってきた。 「だったら、どうして。そんな冗談みたいな事を言う土井田に支持が集まるのだろう?」 彼女からすればもっともな疑問だった。村山も苦笑いしながらビールを一気に流し込んだ。 「思 いこみだよ。君も知ったとおり、この国にはいろいろと複雑な歴史がある。この世界に来るまではこの国は一応、国の体裁を整っていられた。ガルシア大尉の国 の後ろ盾があったからね。いつの間にか、土井田みたいな連中はその後ろ盾の存在を忘れて、平和憲法が日本の平和を守ってるって勘違いするようになった。だ から、その盾がなくなった時に、この国の連中は慌てるんだ。丸山連隊長みたいに自己保身を考える連中。土井田みたいに自分の思考しか信じない連中。田所み たいに、本当に国の危機に目覚める連中って風にね。おっと、これはあくまで俺の私見だ。」 珍しくまじめなトークを長々と展開した村山に、ドローテアは感心したような顔をしている。 「では、村山殿はどんな動機で動いているのだ?」 核心を突いたような質問に思わず村山も答えに詰まった。少々、間を置いて答える形になる。ドローテアも興味津々といった感じだ。 「お、 俺はさぁ。重岡みたいに家族がいる訳じゃないし。田所みたいに愛国心に満ちている訳じゃない。俺は、自分の下半身が自由になることかな・・・・・。もっと も、そうすることで、佐久間のじいさんや、バルクマンやら、ヴェート王の役に立てればいいなとも思う。それでいいんじゃねえ?まじめなことはまじめな人間 が考えればさ」 村山らしい答えにドローテアは笑った。それを見て村山はちょっとむっとした感じで言う。 「けっこう、まじめな問題なんだぞ。俺の下半身ってのは・・・・」 2004年6月29日 12時34分 北九州市八幡西区黒崎 JR黒崎駅前 駅前で演説する土井田にはほとんど人々の関心は集まっていないように見えた。緑のスタッフジャンパーを着てのぼりを持つ村山に、おそろいの女性が声をかけた。 「村山さん、はい。お弁当・・・」 「こりゃすいません」 「いいのよ。土井田先生が選挙に勝って、ガシリアとアジェンダに平和憲法をみっちり教え込んでやれば、景気も良くなってすぐに仕事が見つかるから・・・。それまでがんばりましょう!」 「は、はあ・・・」 彼が受け取ったのはこれまた高そうな幕の内弁当だった。この数日、村山は土井田陣営の豊富な資金力をかいま見せられていた。街宣車は浅川陣営よりも多い。 雇われたウグイス嬢の給料だけでも相当な金額になるはずだ。そして、スタッフに配られる弁当の豪華さ。一見質素な感じを醸し出すのは戦略というわけだ。そ の時、村山の携帯が鳴った。 「もしもし・・」 「村山さん、田所です」 田所からだった。村山は周囲を見回して、駅のトイレに入った。 「まさかと思いましたが、東亜コーポレーションは土井田の旦那の会社です。旦那と言っても入り婿なんで、実質は土井田の会社と言った方がいい。今度の件でも旦那は表に出てきてませんからね。」 やはりな、と思った。ここまで選挙におおっぴらに資金を投入するのは法的にかなり難しい。だが、自分の会社の金だったら・・・。 「で、東亜興産との関係は?」 これさえつかめれば、土井田とドボレクが一気につながる。だが、議員の答えは村山の期待したモノではなかった。 「残念ながら。ただ、東亜コーポレーションに不明瞭な金の流れがあるんです。それを今たぐっていますが、少し時間がかかりそうです。村山さんの方はどうです?」 やはり、名前が似ているというだけでそう簡単にはつながるはずはないか・・・。ともあれ、彼は懐から独特の字体で書かれたメモを取りだした。万が一、見つかっても他人には読みとれない書き方だ。それをペラペラとめくる。 「土 井田の会社から派遣されている運動員で、北島ってのがいるんだが。2日に1回、土井田の指令でどこかに行っているんだ。会計担当の運動員に聞くと、ヤツが 出かけた次の日には金庫の金が増えているそうだ。会社から運動資金を補給していると思うんだが、何か引っかかる。領収書の束を持って行ってるらしいんだ」 村山は自分でしゃべりながら、田所から聞いた情報と彼の推理が結びついていくのを感じた。彼は田所に今考えたばかりの推理を話してみた。 「ビンゴでしょう。ぼくもそう思います。北島の持った領収書の束と、今洗っている金の流れが一致すれば完璧だ。」 北島がどこかに出かけるのは今日だった。村山はトイレの中で意外と早く仕事が終わりそうだと思うと、思わず笑いが出た。 2004年6月29日 21時11分 北九州市八幡西区陣原 工場街の路上 夜の工場街は車もほとんど通らない。24時間稼働する工場の機械音が聞こえるだけだ。土井田の運動員である北島はその一角にある古びた事務所に車を乗り付 けていた。ここも東亜コーポレーションの事務所の一つということだが、村山も彼が入った事務所にこっそり近寄って、窓から中の様子をうかがった。 「いつもの領収書です・・・。あ、確かにお預かりします」 北島がイスに座った男に領収書の束を手渡して、その代わりにアタッシュケースを受け取った。村山の位置からは男の姿は見えない。 「選挙戦は大丈夫なんだろうな・・・」 「はい。社長からの資金のおかげでいい運動展開をさせてもらってます」 北島は「社長」と呼ぶ男にぺこぺこと頭を下げた。 「しかし、君もよくやるもんだ。東亜コーポレーションなどという沈みかけの船に乗ったままで・・・」 「私も必死ですよ。役員にうっかりなってしまったものだから、会社がつぶれた日には私も大借金を背負うことになります。ぜひとも土井田先生には当選していただいて、アジェンダに事業進出しないと・・」 ほほお。北島という男。決して土井田への政治的なつながりで運動を応援しているわけではないようだ。東亜コーポレーションは風前の灯火。このままでは役員 の北島もばちをかぶることになる。そこで、土井田に当選してもらい、アジェンダへ事業展開することで倒産を回避しようという腹のようだ。 「まてよ・・・」 ということは、東亜コーポレーションに土井田の運動資金を出す余裕などない。目の前にいるこの男こそ、北島の持参した領収書の束を使って、金の流れを複雑 にしていかにも、東亜コーポレーションから土井田の資金が出ているように細工している金主ということだ。会話は録音したが、その人物を確かめる必要があっ た。別の角度から見てみようと村山が体を動かしたときだった。 「がたっ!」 乱雑に積まれていた建築資材が音を立てた。北島と男がさっと 窓に振り返った。村山はどうにか身を隠すが、その瞬間に見た男は間違いなくアジェンダ帝国魔道大臣ドボレクだった。まずい。ヤツとは面識がある。ここで見 つかれば作戦は一巻の終わり。それどころか、村山自身の命も危ない。 「誰だ!」 北島の誰何に答えるはずもなく、村山は敷地の外に駆け出していた。ふと、敷地の入り口にいた猫に目がいった。彼はその猫を抱きかかえると・・・ 「ごめんな、猫ちゃん!」 さっきまで自分がいた窓の方に放り投げた。猫はどうにかその場に着地して何事もなかったかのように自分の足をなめ始めた。それを見届けた村山は路上駐車してあるトラックの下に滑り込んだ。ほとんど同時に北島の足音が聞こえてきた。 「ん・・・・。猫か・・・」 北島のため息。ドボレクが表に出てきて言った。 「だいぶん、神経過敏になっているようだな」 「そりゃそうです。このことがばれれば土井田先生も、私もおしまいですから」 「しかし、私がわからないのは土井田だ。アジェンダに協力的なのは政治的思想からなのか、自分の会社かわいさからなのか・・・。」 トラックの下で息を潜める村山は再びMDレコーダーのスイッチを入れて録音を開始していた。これは今回の仕事には関係ないが、村山自身、興味のある問題だった。 「今更、平和主義を訴えたところで現実的にそれは不可能です。土井田先生も知ってますよ。会社かわいさです。」 「そうだろうな・・・」 ドボレクはそう言って北島の肩をぽんと叩くと、待たせてあった自分の車に乗り込んで立ち去った。肩を叩かれた北島は呆然とした感じのまま、事務所の中に戻っていった。 「ふう・・・」 周囲を確認した村山がトラックの下から這い出してきた。やはり、土井田とドボレクはつながっていた。しかし疑問点も浮かんでくる。なんで、魔道大臣まで登 り詰めたドボレクが、日本の選挙にここまで巧妙にタッチしてまで、日本の指導体制を引っかき回そうとするのか。得意の魔法でどっかんとやればいいだろう に・・・。そう思って帰ろうとした村山の耳にある音が聞こえた。 「がったん・・・・」 探偵としての彼の勘が何かささやいたように思えた。すばやく、先ほどの窓に近寄って中を覗いた。その光景は村山を驚かせるに充分だった。深呼吸して彼は迷うことなく田所に電話をかけた。 2004年6月29日 22時21分 北九州市八幡西区陣原 工場街の路上 事務所には大勢の警官がひしめいていた。その中で村山は、北島の死体を調べていた。まさか彼が自殺するとは夢にも思っていなかった。音を聞いて村山が事務所を覗いたとき、北島は首をつっていた。すぐに田所に電話して、警察が到着したというわけだ。 「村山さん、なんで北島は自殺なんか・・・」 事務所の外で駆けつけた田所とドローテアが村山に質問した。質問された村山はざっと事務所を見渡した。ひどく荒らされている。それを見て確信して彼らに言う。 「ヤツは自殺したんじゃない。自殺させられたんだ」 「なんですって?」 村山の言葉に、田所とドローテアが怪訝そうな顔をした。そんな2人に彼は荒れ放題の事務所を示した。 「ド ボレクと北島が会っていたときには事務所は整然としていた。ということは、これを荒らしたのは北島自身だ。なぜ?ヒステリーを起こしたから?その割には ロープはしっかりと天井に結ばれている。部屋中めちゃくちゃにするほどヒステリーを起こした男が、天井にロープを引っかけて首をつるかな・・・」 その言葉に状況を確認したドローテアが頷く。村山は言葉を続けた。 「でも、肝心の北島の死体を見てみると、自分で自分ののどをかきむしった跡がある。足もばたつかせたんだろう。靴が片方すっ飛んでいる。」 「それは、きっと首をつってから気が変わったんじゃないですか?」 田所がその推理に反論した。村山もそう考えたが、これまでの北島を観察する限り、彼が突発的であれ自殺を実行する理由が見つからなかった。それに、死ぬ寸 前までドボレクと会話していた内容は未来の話だ。今から死ぬ人間が先のことを考えるというのも腑に落ちない。北島の遺体を調べていたドローテアが神妙な面 もちで言った。 「幻術だ・・・・」 その言葉に村山ははっとした。ドボレクは立ち去る前に、北島の肩を叩いたことを思い出した。その直後から彼の様子はおかしかった。 「海浜公園に現れたナパイアスを覚えているだろう。あやつも幻術を使う。ドボレクも北島に幻術をかけて自殺させた。だが、北島は必死で抵抗して暴れた。その結 果はこの事務所の荒れようなのだろう。口封じだろうな。北島は自己保身のためだけに土井田にくっついていた。そう言う人間は得てして口が軽い。」 「なるほど、だからドボレクは北島の真意を確かめた。北島が自殺して、土井田が弔い合戦と称してさらに選挙運動を展開すれば、同情票が集まるわけだ」 「そうだろう。だがヤツはミスを犯した。幻術を使えば、死体にその魔力が残る。私でもそれくらいは探知できるからな・・・」 ドローテアの言葉に田所はすぐに携帯電話を取り出すと重岡に電話した。彼と尾上は福岡の東亜興産に突入するために準備を進めている。 「重岡さん、すぐに福岡の東亜興産に突入部隊を送ってください。裏はとれました・・・・え?許可?それはぼくの方からやっておきますから急いで!」 電話を切ると田所はすぐさま、ドローテアと村山を車に乗せた。 「田所殿、どこへ向かうのだ?」 浅川や丸山と違い、段違いの素早い対応についていけないドローテアが田所に聞いてみた。彼は得意満面の笑みでそれに答えた。 「土井田の事務所です。速攻をかけて一気に国を売る連中を捕まえてしまうのです」 2004年6月29日 22時55分 福岡市中央区長浜 東亜興産のビル 重岡に率いられた自衛官と田所から連絡を受けた機動隊が、若者でにぎわう長浜にサイレンを鳴らしながら駆けつける。周囲は騒然となったが、半分やけくその重岡はハンドマイクで指示を出す。 「裏口も固めろ!アリ一匹出すんじゃないぞ!」 警官隊が次々と自衛隊の援護で突入を開始した。抵抗らしい抵抗はなく、どんどん東亜興産の社員、というよりほとんど極道みたいな連中が引き出されてきた。その中の1人を捕まえる。 「おい、社長はどこだ?」 重岡の質問に社員はにらみを効かせる。 「ああん?自衛隊に話すことなんかねぇよ・・・このおっさん!」 ヤミ金融の極道にすごまれて内心あせりながらも重岡は表情には出さずに言った。 「君の罪状は利息制限法でも出資法違反でもない。何だと思う?」 「ああん?知らねぇよ」 半分開き直った社員はそれでもまだすごみを効かせようとしている。重岡は近くの刑事を呼んだ。 「すいませんが、彼に今回の強制捜査の罪状を教えてやってください」 刑事は頷くとまだ重岡をにらんでいる社員に向き直ると真顔で言った。 「外患誘致罪だ」 「なんだそれはよ?言いがかりつけんじゃねーぞ!」 意味の分からない社員は刑事にも噛みついた。だがその辺は扱いの慣れた刑事。それを半分無視して言葉を続ける。 「外国の勢力を国内に招き入れ、国家転覆をもくろんで騒乱を起こした罪だ。君の社長がそれを実行した。社員の君たちにもその嫌疑がかけられている。」 「知らねーよ!どうせ、ヤミ金融の証拠がつかめなくて別件逮捕なんだろ?で、何年なんだよ?外患なんとかってのの罪はよぉ?」 まだ事の重大さがわかっていない社員は、外患誘致罪で逮捕は仲間内で箔付けになると思ったのだろうか。刑事に挑発的に詰め寄る。刑事は淡々とそれに答えた。 「死刑だ。死刑だけ。この罪だけは罰金も、禁固も、懲役もない。これで有罪になれば死刑だけだ。現実に、おまえのところの社長であるドボレクの手引きで起こったテロで死者が10名出ている。」 刑事の言葉に社員はようやく気がついたらしい。さっきとはうって変わって半泣きになった。 「えええ?死刑?そ、そんな。社長は滅多に来ないし、金だけは使いまくるし、最近来たのは4日前ですよ。俺はそんなテロ事件も知らないし・・・俺死刑なんてイヤっすよ!」 態度の豹変した社員を刑事はおきまりの「話は署で聞く」という言葉と共に護送車に連れていった。すべてのやりとりを聞いた重岡は、携帯で田所に連絡を取った。 「重岡です。東亜興産にドボレクはいませんでした。気をつけてください」 電話を切ると、重岡はため息をついて周囲を見回した。夜の顔を見せ始めた長浜界隈での大捕物に野次馬の数がものすごかった。何を勘違いしたのか、一緒に歩 いていた少女を振りきって逃げようとしたサラリーマンが反対に少女に捕まって怒鳴られている。別の件の摘発と勘違いしてしまったようだ。 「おっさん!まだ金もらってねーんだよ!」 日本はまだまだ平和なんだと重岡は痛感せずにはいられなかったが、その横で、今回は出番のなかった尾上がその光景を見てつぶやいた。 「あんなのよりも「明日のナージャ」みたいな娘に淡々とお説教される方がいいなぁ」 自衛隊と日本国の未来のために、思わず腰の拳銃を抜いて撃ってしまった方がいいんではないかという衝動をどうにか重岡は抑えることに成功した。 2004年6月29日 23時17分 北九州市若松区本町 土井田高子事務所 この時間でも電気はついている土井田事務所を、数十台の警察車両と陸自の高機動車が完全に包囲した。車両から続々と自衛官や機動隊員が下車して突入体制を整えた。 広い空き地の真ん中に鎮座する土井田事務所と周囲の異変に、周辺の店にいた人々が表に出てきて様子をうかがい始めた。 「土井田高子!選挙管理法違反ならびに、外患誘致容疑で逮捕する!おとなしく出てきなさい!」 パトカーの拡声器から響く警告にも土井田事務所からは何の反応もない。田所は車の影から各指揮官に合図を送った。素早き動きで、機動隊と自衛隊が土井田事務所の包囲を狭めていく。 「うわっ!」 その時、沈黙を守っていた土井田事務所から銃撃が開始された。ジェラルミンの盾に次々と弾丸が着弾する。 「後退しろ!後退!」 突入部隊は車両の影に撤退した。だが、それで終わりではなかった。双眼鏡で監視していた警官が泣きそうな声で叫んだ。 「あ、RPG!」 次の瞬間、バス通りに待機していた警察の護送車が紅蓮の炎をあげて数メートル宙に浮かんだ。周囲にいた警官や自衛官が建物の影や車の影に飛び込むのが見えた。 「私たちは、軍国主義者の弾圧には屈しない!憲法9条と日本とアジェンダとガシリアの平和を求めて戦います!」 土井田が事務所の窓からハンドマイクで叫んだ。村山たちには周囲の喧噪でようやく聞き取れる程度だったが、事務所にこもった人々からは歓声があがっているようだ。 「なんてこった。土井田は真性の活動家だ・・・」 村山が舌打ちしながら言った。どうやら、彼女に対する北島の見方は間違っていたようだ。 「まずいな・・・。まさか選挙事務所にこんな重装備があるなんて思ってもみませんでした。警察も自衛隊も大した武装はしていないんです」 困り果てた田所の言葉にドローテアはまったく動じることはなかった。それどころか、面白いことになったと言わんばかりの顔で彼に携帯電話を貸すように言った。 「まあいいではないか。敵が強力な武器を持ち出せば、こっちはさらに強力な武器を使えばいい。それにしても、田所殿。面白いのぉ・・・・。この国の「平和主義者」は気に入らないことがあれば平気で戦争を始めるものなのか・・・」 2004年6月29日 23時22分 北九州市小倉北区紺屋町 クラブ「サイコエンジェル」 丸山、田島、岩村は選挙戦が着実に浅川優位に進んでいることに満足していた。大神官の従者であるバルクマンや、大神官を広告塔に使うことには若干、感情的な面でしゃくな部分もあったが、結果オーライだ。 「これで我々も安心して職務を遂行できるというモノです」 岩村が上機嫌で2人に言った。懸念されたドボレクのテロもなく、選挙戦は平穏なものだった。田所が対立候補の土井田とドボレクのつながりをどうだこうだと言っているが、所詮彼も、来るべき浅川政権でのポストを意識してのパフォーマンスをしているにすぎないのだろう。 「隊長さ~ん!ホントにかっこいい自衛官とコンパさせてくれるの?」 「ああ!いいよ、いいよ!その代わり、今日はアフター行こうなぁ・・・!」 これまた上機嫌の丸山と田島もホステスのお姉ちゃんを口説くのに必死だった。 「あたしぃ。バル様を紹介して欲しいなぁ」 「あ、あたしも!バル様がいい!」 バルクマンは今や、完全に「バル様」として女性層の圧倒的な支持を得ていた。またまた出てきた、彼らにとって目の上のたんこぶに等しいガシリア人の名前に、連隊長は顔をしかめたがすぐに満面の笑みを浮かべた。 「バル様ね。いいぞ!彼もわしの部下みたいなもんだからな!なあ田島君!」 「は、はい!」 その時、田島の携帯が鳴った。うるさい有線の音を片方の耳をふさいで遮りながら電話に応答する。 「もしもし・・・・、え?え・・・・・・・なんだっってぇぇぇぇぇ!!!」 顔面蒼白になった田島を丸山も岩村も、ホステスの面々もきょとんとして見ている。少しばかり酔いの醒めた田島は恐る恐る丸山に状況を報告する。 「そ、それが、自衛隊と警察が若松区で、土井田陣営の運動員と銃撃戦をしていると・・・・。それに、長浜でも機動隊と自衛隊がヤミ金融業者を摘発したそうです・・・・・」 その報告に丸山も岩村も数秒、思考も行動も止まったがすぐに顔面を真っ白にさせて叫んだ。 「なんだとぉ!わしはそんな許可出してないぞ!」 「わたしだって県警にそんな指示はしていない!」 自分に言われても困ると言わんばかりの田島は思わず、携帯をいじって場を逃れようとしてさらなる現実を突きつけられて完全に酔いが醒めてしまった。それを見た岩村と丸山も、思わず各自の携帯をチェックして、一様に田島と同じ表情になった。 「まずい・・・・」 「こ、これは・・・」 3人の携帯には着信履歴に山のように、それぞれの部下からの着信があったことが残っていた。用件はもちろん、田島から申請された自衛隊と県警の出動要請についてだった。 「緊急の件ですので、県知事の裁可を仰ぎたいと思います」 異口同音に、留守伝にはこう録音されていた。まさか、キャバクラの有線の音量が大きいせいで、責任者が連絡が取れずに県知事直々の命令が下されたとは・・・。 「田島君、岩村君・・・。とりあえず、ここを出るぞ!」 完全に慌てた丸山が帰り支度を始めた。田島がそれに続いて勘定を払って領収を切ろうとした。 「た、田島君!領収はまずい!ここは、岩村君の方で領収を・・・」 「丸山一佐!こっちもまずいですよ!」 丸山の言葉に岩村も大慌てで反論する。緊急事態のあった日付でキャバクラの領収なぞ、いくら交際費や研修費でも落ちるはずもない。3人の不毛な言い争いにホステスの1人がうんざりしたように言った。 「で、いつバル様とコンパさせてくれるの?」 2004年6月29日 23時31分 北九州市若松区本町 土井田高子事務所 銃撃戦は膠着状態になっていた。敵がどこまで強力な兵器を持っているかわからないので、下手に攻撃はできない。それに市街地だ。一般人に被害が出れば最悪の事態になる。こんな状況にも関わらず、どこかに電話をかけたドローテアは余裕の表情で車の影に腰を降ろしている。 「ドローテア、いったいどこに電話をかけたんだ?」 不思議に思った村山が彼女に聞くが、まるでクラスメートのイスに画鋲を置いた子供のような顔をしたドローテアは詳しくは答えない。ふと、村山の耳に変な音、少なくともこんな緊迫した状況では聞こえるはずのない音が耳に入った。 「ん?なんだ?」 音楽だった。彼の聞き間違いでなければ、「愛と青春の旅立ち」だ。場違いな洋楽デュエットに違いないが、いったいどこから・・・・ 「あっっ!」 田所が北の空を指さして叫んだ。村山も周囲の自衛官や警官もその声に釣られて上空を見て、あっけにとられた。彼らのリアクションを見たドローテアはうれしそうな顔をしている。 「ドローテア、まさか・・・・あの電話は・・・・」 怖々聞いた村山の問いにドローテアはあっけらかんとして答えた。 「ガルシア大尉だ。北九州沖の強襲揚陸艦にいると聞いたが、意外と早かったな」 大音量で往年の名曲をスピーカーで流す3機のAH-64には当然、土井田陣営も気がついたようで上空に向けて派手に銃撃を始めたが20ミリ弾も跳ね返すアパッチの装甲をライフル弾や拳銃弾で破れるはずもなかった。 「ドローテア!我が心の太陽!よく私を呼んでくれたね!さあ!我が部隊の活躍をとくと見てくれ!」 スピーカーからガルシアの得意げな声が流れるや、アパッチの30ミリがうなりをあげ始めた。落ちてくる薬莢で周囲の隊員たちが悲鳴をあげた。 「あちっ!」 「あつつ!!」 そんなことにお構いなく、アパッチは土井田事務所の土台付近を集中掃射していく。すぐに隅っこの柱は壊れて、事務所は大きな音を立てて軋み始めた。土井田や事務所に立てこもる連中の悲鳴が村山や田所のところまで聞こえてきた。 「ひ、ひいいいいいい!!!!」 それでもアパッチの30ミリは容赦なく土井田事務所の地面と土台を掘り起こしていく。屋根が揺れ、窓ガラスがはずれて落ち始めた。 「心配しなくていい。死人は出すなと言ってある」 その光景を眺めながらドローテアは田所に言うが、彼は予想外の光景に唖然とするばかりだ。 事務所が轟音をあげながら倒壊すると、今度はUH-60が倒れた事務所の上空でフラッシュグレネードや催涙弾をどんどん投下し始めた。音響に閃光に煙。たまらず逃げ出した運動員が周囲に散らばった警官や自衛官に取り押さえられていった。 「ははは!逃げるヤツはテロリスト!逃げないヤツは訓練されたテロリストだ!野郎ども!どんどんぶち込め!」 ホプキンス曹長に率いられたUH-60の海兵隊員は手に手にあらゆるモノを投げ落としていった。最後には、どこかで買い集めたバルサンまで煙を出させながら投下して、ゆっくり旋回しながら飛び去っていった。 「ド、ドローテア様。いくらなんでもめちゃくちゃですよ・・・」 田所の言葉も無理はなかった。プレハブの事務所は倒壊。その周囲の道路にはおびただしい数の空薬莢、その事務所からは米軍が持ってきたありったけの催涙弾 やら、フラッシュグレネードやら、バルサンの煙がもうもうとしている。その中をほとんど爆破コントのオチみたいな状態の運動員が次々と警察や自衛隊に引き 立てられていくのだ。 「ドローテア!今回の君へのプレゼントは満足してくれたかな?我が合衆国海兵隊と私は、常に君を見守っている!これからも変わらぬ愛を君に誓うよ!」 なにも大音量のスピーカーを通して言わなくてもいいような気障な台詞を残してガルシアと海兵隊は颯爽と飛び去っていった。それを見つめながら村山が誰にともなく言った。 「あいつら、絶対楽しんでいやがる・・・・」 2004年7月5日 10時02分 北九州市小倉南区北方 第40普通科連隊駐屯地 第1独立偵察小隊の事務所ではいつもの面々がいつもの場所でいつものように思い思いの仕事に耽っている。 「結局、選挙は浅川の勝利か・・・」 新聞を広げながらたいした感慨もなくドローテアがつぶやく。結果的に彼女の無言で交わす浅川との握手作戦は徒労に終わったのだ。彼女の不満も無理はなかった。だが、それ以上の被害者が仲間の中にはいた。 電話が鳴って、尾上がそれを取った。 「はい・・・。え?今は勤務で外出中です。・・え?外出先?」 さらに電話が鳴って美雪が応答する。 「はい・・・・。だから・・・、勤務中の電話は受け付けられません」 その様子を見て、ドローテアのそばに控えるバルクマンがため息をついた。この手の電話が1日に40本近くかかってくるのだ。手紙の数やメールの数はすでに 5桁に達している。それらは段ボールに詰められて事務所の一角に積み上げられている。ある意味、今回の一番の被害者はバルクマンに他ならなかった。 「ドローテア様、私はいったいいつまで「バル様」をすればよいのでしょうか・・・」 困り果てたイケメン騎士は美しい金髪をかきあげて天井を見上げた。 「バルクマンよ。そなたの働きで今後、この部隊をとりまく状況は大きく変わるのだぞ」 そんなバルクマンにうれしそうにドローテアは言う。ここ数日の電話攻撃に半分うんざりしている重岡が思わずドローテアに言った。 「ドローテア様。この部隊を取り巻く状況は、見ての通り変わりまくりですよ。「バル様に会わせろ」の電話ばかりで仕事になりません」 半泣きの重岡に対しても、ドローテアは新聞から笑顔をちらっと向けただけだった。ソファーの向かいに座って相変わらずネットにいそしむ村山とちらっと視線をあわせた。彼はおどけたような表情をしただけでなにも言わなかった。それを見てドローテアは笑顔で答えた。 「まあ、重岡殿にもみんなにも、悪いようにはならない変化だと思うがな・・・」 大神官の言葉に、思わず重岡とバルクマンは顔を見合わせた。 2004年7月5日 10時04分 北九州市小倉南区北方 第40普通科連隊駐屯地 テレビでは前日に行われるはずだった首班選挙の結果を大きく報じていた。結局、土井田は逮捕されて事実上、無投票で浅川の勝利が確定した。それを見ながら丸山が疲れたようにソファーでつぶやいた。 「よ、よかった・・・・。ともあれ、浅川先生の勝利だ」 それに答えるように田島も彼の向かいでお茶をすする。 「まったくです。結果良ければすべて良し、というところですな」 「しかし、まさか米軍まで、田所議員と浅川先生の許可とは言え動員するとは」 田島の横で岩村が茶菓子に手を着けながらつぶやく。あの処理は3人にとってはまさに必死だった。現場の責任として、事後とは言え自衛隊と県警の出動に認可を与え、民間に出た損害(ガラスの破損など)を保証し、マスコミの質問に追われまくった。 「ともあれ、これで一段落だ。あの小うるさい若造議員もおとなしくなるし、大神官も浅川先生が首班に選ばれて不満はないだろうし、しばらくは平穏だ」 丸山の言葉に、田島も岩村もうんうんとうなずいた。とにかく、みんなが望むところに収まったのだ。と、ドアがノックされて、幹部が困った顔をしながら丸山に報告した。 「れ、連隊長。田所先生がいらっしゃっていますが・・・」 その言葉に一同に焦りの色が浮かんだが、かろうじて幹部に「お通ししろ」と言うと、丸山は頭を抱えた。 「今更何の用事なんだ・・・」 「まあ、きっと形式的な訪問ですよ。この上、市議会議員に我々が口出しされることはないはずです」 田島の言葉はもっともだった。非常時を過ぎてしまえば、中央(つまりは浅川の臨時政府)の管轄である警察や国防に地方議員が口を挟む余地はない。そこへ、茶髪にメガネの田所はにこやかにやってきた。 「これはこれは。岩村本部長もご一緒ならお話が早いというモノです」 「お、お話とは?」 開口一番の田所の言葉に田島が少々焦りながら彼に尋ねる。当の本人は得意げな顔をしているだけだった。不意に彼はとんでもないことを口にした。 「このたび暫定政権で、防衛庁長官と国家公安委員長を兼務することに内定致しました。で、まあ今日はご挨拶に来た次第です」 「ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、防衛庁長官????」 「こ、こ、こ、こ、国家公安委員長???」 この言葉に、丸山と岩村は目を飛びださんばかりに驚き、田島はソファーに突っ伏した。浅川はこの選挙に彼をブレーンとして招く代償に、彼にこのポストをプレゼントしたのだ。3人にとっては、「よりにもよってこのポスト」と言うべきだろう。 「まあ、みなさん。これからは今まで以上によろしく頼みますよ」 そんな3人の気持ちを知っているかのように田所ははち切れんばかりの笑顔で言った。
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15 :創る名無しに見る名無し:2014/06/11(水) 23 22 42.39 ID kezyFT8B 海の国が消滅したことで、海の民は安住の地を失い途方に暮れている所、異世界から突如現れたニホンと言う国が彼らに新たな住居としてイズ諸島近海を彼らの生活場所として提供し、付近の住民と奇妙な共生関係になってから暫くして。 海の国の聖歌隊員リンダは、海の国の跡地の様子を見るために、「転移」の爪痕である海底峡谷へ泳いでいた。 「見事なまでに海底がパックリ割れているわね・・・」 海の国を滅ぼした「災厄」と入れ替わる形で、この世界に組み込まれた証拠であり、その底は、未だに魔鉱石の青白いマグマが煮えたぎっていた。 「本当に何もかも無くなってしまった・・・私たちの聖歌の為のホールも、残っていないか・・・。」 「・・・少し、遠くに行き過ぎたわね・・・戻らないと・・・。」 ニホンに戻るため、反転し、海流に乗るために足鰭を動かそうとしたその時、遠方の砂場で爆発音が響いた。 「っ!?な・・・何?」 ニホンの漁師達が、拘束魔法を利用した漁をする事もある海域で、このような異常現象が起こる事を見逃すことは出来ない。 慌てて、爆発音が聞こえた場所へ泳いでみると、砂煙の中から岩の様にごつごつした物体が現れた 「あ・・・・ああっ・・・こ・・・これはっ!!」 それは、ウミビトの中ではある意味見慣れた物であった、だが、加工される前の生きた状態で見る者は海の国の中でもそうは居ない。 「重宝玉貝!!(ガーディアンシェル!!)」 分厚い貝殻は、あらゆる衝撃を防ぐ盾に加工され、生成される巨大な真珠は、水竜の鱗すら貫通する槍の刀身に加工される。 しかし、個体数が少なく、生息域も深海になるため、探知力の高い専門の魔術師を派遣しなければ、まず見つからない。 それが、何故こんな浅瀬の砂場に転がっているのかは、不明だが、彼女にとって、海の民にとって大発見もいい所だった。 「転移の際に、海底から吹き飛ばされてきたのかしら?何にしても、こうしてはいられないわ!」 彼女は、体内に宿る水の魔石を振動させ、付近の海水と共振させて魔力を帯びた水流を発生させる。 「大口を開いているんなら、奇襲出来る筈・・・・はぁぁっ!!!」 凄まじい水流が、水の槍と化し、直線上の物を貫く聖歌魔法、水槍(アクアスピラー)を放つ・・・しかし。 バグン!! 「え?」 水の槍が到達する寸前に、防衛本能が働き、僅かな海中の魔力の濃度の変化を感知し、貝殻を閉じ、これを防御する ギチ・・ガチガチ・・・・ガッポン!! そして、分厚い貝殻を激しく振るわせた後、凄まじい勢いでこれを閉じる事で、爆発的な水流が発生し、周囲の物を薙ぎ払った。 「きゃあああああああああああ!!!」 その凄まじい衝撃波を浴び、リンダは吹き飛ばされながら意識を失った。 後日 「まさか、重宝玉貝がこんな浅瀬に生息しているとはな」 「いやいや、何かしらの影響で浅瀬まで移動しちゃったんでしょ、それにしてもリンダちゃんも災難だねー」 「阿呆抜かせ、本来たった一人で挑む相手じゃない、功を焦ったアイツが悪い、良い薬になればよいが」 「ヴィーナちゃんひっどーい、リンダちゃん、這う這うの体で報告しに来たのにー」 「ふん、この狩りで貴様の軽薄さも叩き直されるのならば何もいう事はあるまいさ」 「大丈夫だよ、重宝玉貝の事はしっかり予習してきたからさ、このネレイナちゃんに任せなさいー!」 「どうだか・・・・おっと、お喋りはここまでの様だぞ、ネロ、奴だ。」 「うへぇ、聞いた話通りのデカブツねぇ。」 「面妖な・・・。」 本来光の射さない深海に生息する重宝玉貝が明るい砂場に鎮座する光景は、ウミビトから見ても異様な光景であった ギチギチ・・・ギギギ・・・ 周囲に気配を感じたのか、貝殻を小刻みに震わせて不気味な音を周囲に響かせる。 「あれは、威嚇だな、これ以上近付いたら唯じゃおかないぞ、と言う意思表示と言う奴だ。」 「ああ、リクビトによると、大陸のほうでも鎧虫の一種が似たような行動をするらしいわね。」 「ねぇ、どうするの?殻が分厚くて攻撃が全く効かないらしいけど・・。」 「奴が衝撃波を出すときに一瞬だけ殻を大きく開く、そこに聖歌魔法 鮫牙(スクアーロ)を打ち込む」 「それって、タイミングを誤ったら危なくない?」 「大人数で絶え間なく水槍を放ち疲労を誘う方法も無くは無いが、この人数では短期戦しかあるまい」 「ま、今の海の国が動かせる人員なんてたかが知れているし、5人も聖歌隊が集まれば良い方なんじゃないの?」 「よし、私の牙槍を触媒にする、合わせろよ?」 聖歌隊の一人が、槍を掲げタクトの様にリズムを取りながら上下させる。 ~~~♪♪♪~~~♪♪♪ 体内に宿る魔石を振動させ、海中を伝わり、聖歌隊同士の魔力を共鳴させ、魔力を帯びた水流が水獣の牙の槍に集まる。 ギチギチ・・・・ガコン! 威嚇から外敵の排除行動へと移り、貝殻を大きく開き、衝撃波を放つ準備をした・・・・その時! 「~~~♪♪♪♪・・・・・行くぞ!!聖歌魔法 鮫牙(スクアーロ)!!!!」 圧縮された魔力が槍に集中し、凄まじい破壊力の水槍が突き進み、重宝玉貝に直撃、水の大爆発を起こし海底を砂煙が覆う 「単純な破壊力だけなら水槍の10倍だ・・・流石に奴も無事では済まないはず・・・・。」 ギギ・・・・ガチガチ・・・ガコン 「馬鹿な!あの速さの鮫牙を直前に防ぐだと!?」 ごぼぼ・・・・ガッポン!! 「っ!?・・・・ぐうっ・・・あああああああああああああぁぁっ!!」 =========================== -------------------- ーーーーーーーーーーー 「・・・・で、聖歌隊のメンバー5人も負傷したと」 「あの海域には近づかない方が良いと思います、ニホンの漁師の方にもお伝えした方が良いかと」 「ふむ、では大使館に連絡を・・・それと、重宝玉貝の監視を続行しろ」 「はっ」 「・・・そう言えば、第3太陽丸が近海で漁をしているらしいが・・・無事だと良いのだが・・・。」 「うーみぃーの、おとっこーはぁーー♪♪たいりょーーきぃ♪♪かっついーでぇーーー」 「船長、音痴な歌うたっていると魚が逃げてしまいますよ。」 「るっせぇ!別な世界に飛ばされて、ヘンテコな魚や化け物みてぇなカニが襲って来たり商売あがったりだ!歌わずにはいられるか!」 「ですが、単純な漁獲量なら地球以上ですよ、手つかずの漁場が延々と広がっているのです、調理法さえ確立すればビジネスチャンスですよ?」 「確かに味は悪くねぇけどよぉ・・・はぁー、久しぶりにカレイの煮つけが食いてぇなぁ・・・。」 「この世界にも似たような魚が居るじゃないですか・・・。」 一方海中 「あれは・・・ニホンの船だ・・・あれは、拘束魔法ティーチ・ア・ミィか?」(注.底引き網です。 「なるほど、不可視の壁で海底の魚を丸ごと捕獲するのか・・・むっ!?あの方向は・・・いかん!!」 「さて、そろそろ引き上げるか?」 ごおおおぉぉぉぉん!!ガキン! ピンッ! 「な・・なんだ!?網が丸ごと持っていかれた!?」 「ぬぅ・・・まさか、ティーチ・ア・ミィが破られるとは・・・あの衝撃波、侮れんな・・・。」 「ニホン程の力を持った国ですら重宝玉貝には敵わぬか・・・」 「っ!?誰かが潜って行く!?馬鹿な、誰か止めさせろ!!」 「はぁ、何で俺がこんな事を・・・どうせ岩か何かに引っかけたんだろ?・・・おっ?」 ギギギ・・・ガチガチ・・・。 「シャコガイ?か?こんな海域に・・・なんて大きさなんだ、異世界のシャコガイなのか?」 ガリガリ・・・ごっぽん!! 「っ!?があああああああっ!!!」 ダイバーが漁具の異常を確認するために、海へ潜るも、ウミビトの攻撃や、船の発する騒音に気が立っていた重宝玉貝の衝撃波を浴び意識を刈り取られてしまう。 あばら骨を数本折る重傷を負った彼は、病院に緊急搬送され、日本政府は近海で目撃されたこの害獣を駆除する事を決定した。 数日後・・・ 巨大貝襲撃事件があった海域に白一色に塗られたヘリコプターが腹部に灰色の物体を抱えて飛行していた。 「水中戦のプロフェッショナルである人魚でさえ、手を焼く生物だ、銛で突ついた程度では駆除できんぞ?」 「まぁ、そのためにこれを持って来たんですけどね。」 本来は潜水艦への浅海面での攻撃や警告・威嚇目的に使用される対潜爆雷を抱えた哨戒ヘリSH-60Kは、ソノブイから送られてくる情報を元に機体を旋回させ、腹部から海中に潜む者にとって凶悪極まりない物体を投下した。 ドオオオオォォォォォォン・・・・・・・・・・・。 海中を蹂躙する衝撃波と、海面を貫く水柱を上げて、後に静寂がその海域を支配した・・。 「目標の沈黙を確認、帰投する。」 「・・・・・これが、ニホンの水軍の力・・・。」 事前に通告があって、避難していたウミビトたちは、平穏の戻った重宝玉貝の居た海域へ向かい、原型を留めないほどに四散した重宝玉貝の残骸を見て絶句する。 「まるで、海神の槌で叩き潰された様だ・・・どんな魔導を使ったというのだ?」 「ジエイタイの方から聞いたのですが、バグ・ラ・ウィと言う広範囲魔法を使用したらしいです。」 「バグ・ラ・ウィ・・・・まさかティーチ・ア・ミィを超える魔法があるとは・・・それも、まるで格が違う・・・。」 「ティーチ・ア・ミィですら、本気の魔法ではなかったというのか?何と恐ろしい・・・。」 「初遭遇の時に彼らと敵対していなくて本当に良かった・・・運が良いとしか言いようがない・・。」 その後、日本政府は、重宝玉貝のサンプルを一部受け取り、残りは海の国の武具を充実するためにウミビト達に提供したという。 ガーディアンシェル 通称、重宝玉貝 和名:オニハガネシャコガイ 全長4メートルを超える巨大な二枚貝。 普段は海中の岩に挟まって海中のプランクトンを捕食しているが、外敵が近づくと貝殻を高速で開閉して衝撃波を発生させる。 その威力は凄まじく、至近距離では鉄の板も容易く粉砕し、周囲に死をまき散らす。 また、魔力の濃い海域では、高純度、高濃度の魔石を核とした、真珠を生成する。 貝殻と真珠は、常識では考えられないほどの軽さと硬度をもち、タングステンも顔負けの強度と、高い魔法的親和性を持ち、ウミビトが扱う武具の素材の中でも最上級の品質を持つ。 個体数が少なく、滅多なことでは見つけることが出来ないが、発見できたとしても、本種を狩るのには犠牲を覚悟で大人数で挑むしかない。 拘束魔法ティーチ・ア・ミィ(人魚視点 ニホンの魔術師が使用する強力な拘束魔法。 水上では、その実態を確認できるが、水中に降ろすと、背景と同化する魔法の糸を何重にもからめた網を使い、範囲内の生物を拘束する。 捕えられたが最後、魔法の糸で出来た檻の中に閉じ込められ、宙吊りにされてしまう。 広範囲魔法バグ・ラ・ウィ(人魚視点 ニホン水軍の使用する究極魔法の一つ。 まるで、伝説の海神が振り下ろす巨槌による大破壊を彷彿させる驚異の破壊力を持っており、その範囲内の生物は皆、一瞬で絶命する。 ニホンが操る、黒き海獣も同等かそれ以上の破壊をもたらす魔法を扱う事が出来るらしいが、詳細は不明。 ニホンの底知れぬ軍事力の一端が垣間見れる。 あとがき くぅ~~~疲れました!ってなんで俺君がっ(以下略 すいません、ふざけ過ぎましたw 一般人では駆除できないシーサーペントとかの害獣に関しては、海上自衛隊が爆雷か魚雷で吹っ飛ばすのかなぁ・・・。 とりあえず、相も変わらず、ノリと勢いな作風です。 突っ込みどころ満載・・・むしろ、突っ込みどころしかないかもしれませんが、非常に軽いノリで投稿させて頂いておりまする。 うも、感想ありがとうございます。 異世界の海は、地球とは違った意味で危険な生物がうようよ生息していたりします、しかし、全てがすべて危険生物という訳ではないのは地球と同じです。 少なくとも知的生命体が、陸から海に適応して、文明を開ける程度の危険度なので、警戒しすぎる事も無いです。(ただし、地球の常識は当てはまらない 生物学的な観点 そうですね、好奇心がそそられますね、問題はどうやって捕獲して、どうやって飼育するかですね・・・なんせ相手は鉄の板を粉砕する巨大貝です、水槽程度では簡単に破壊されてしまうでしょうね。 あと、深海の生物がぽいっと浅瀬に移動して、自力で動けない場合は、環境ストレスで勝手に死滅しそうな気もしますが・・。 それと、日本とその領海が転移しているため、地球産の魚介類が異世界の生態系を逆に汚染している部分もあるかもしれません。(昆布とかワカメとか もしかしたら陸ではなく海に、日本の食糧問題を解決する海洋生物が異世界に存在する可能性もあるかもしれませんねー。 さすがにそんなのは、退治してもどこからも文句は出ないでしょう。そんなのが近海に現れたら、その時こそ海上自衛隊の出番ですね。 魚雷を数十本も撃ち込めば、さすがのクラーケンも死ぬでしょう。 食料的な観点 とても美味な珍味です、更に食べると魔力を肉体に取り込みパワーアップが期待できます。(異世界人限定 凶悪海獣対策と異世界人との交配 クラーケンみたいなのが生息していても、某、レヴィアタンみたいに、口の中に爆発物を突撃させるだけで一撃死でしょうねー。 ちなみにオニハガネシャコガイは、外見がシャコガイに似ているだけで全く別の起源の生物です。 そもそも、異世界人含めて、地球の生物とは全く異なる系統で進化してきた生物なので、収斂進化で外見が似ていても違う生物だったりします。 これは、本作のコンセプトが、全く別の世界で別の環境で進化してきた生物が、交配出来る筈がないと言う偏見の下で書いているからです。(主にハーフエルフなどの半人半亜人 まぁ、事実上の異星人ですからね、両者にとって。 ただ、異世界人にとって人魚でも鳥人でも蛇人でもハーフが生まれるのに、自分たちに外見があまり変わらない地球人が交配不可能で、圧倒的な技術力を持つと言うのをどういう視点で見るか・・ですね。 強力な魔法を操り、同種族以外の子をなさない異世界の民、彼らから見れば、エルフなみに神秘の存在に映るでしょうね。 自分の所の姫や貴族の娘を差し出して、血筋的に関係を作ろうとしても、それが出来ないのですから。・・・・書いていて思ったのですが、これを利用した性犯罪が横行しそうな気がしますね、主に暴力団など。 うーむ、クラーケンVS自衛隊は書いてみたいのですが、ルーントルーパーズの二番煎じになりそうな;(そもそもあのレベルの文章力で書ける自信がないOTL 最近、作者様が落ち込んで居るみたいなので、ファンの私としては早く立ち直ってもらいたい所です。(ここで書くようなことではないのですが、あの作品は新しい衝撃を与えてくれましたね。 元々知り合いからゲート自衛隊と言う小説があるよ、と、試しに読んでみてハマって、石動様やくろべえ様、浜松春日様などの作品と出合い、ファンタジー世界の自衛隊作品を読む様になりました。 約2年ほど前から、当スレッドを見るようになってから、様々な作品を目にして、続編を待ちつつ日々を過ごすようになりましたが、やはり、見ているだけじゃなくて実際に書いてみたい衝動に駆られましたね。 ファンタジー世界VS自衛隊の物語が最近、投稿されていないので、新作まだかなーと、待つよりも自分で書いた方が手っ取り早いじゃないかと言う謎の発想で書こうと思うようになりました。 乏しい知識の中で、書き続けようと思いますが、よろしくお願いしますです。 異空人/イクウビト バラムガーデンのエンジンルームに潜む魔物的な奴を登場させてみようかなぁ・・・と思う今日この頃
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ツクシティ戦力外通告 開始時期 第4期 前提クエスト 不特定 主な関連仲間キャラ リニティ 関連ダンジョン K.G.T 開始条件 クエストを20以上クリアし、ツクシティ外観へ入る クリア条件 「K.G.T」最奥のボスを倒し、市長事務所に入る クエストを20個以上クリアすると自動で開始となるクエスト。推奨レベルの低い順からクリアしているとレベルが足りないことも多い。ゲームクリアに必須のクエストではあるが、時間制限がある訳ではないのである程度仲間と装備を揃えてから挑むのが良い。 第1・第2フロアはレバーを動かしながら岩をかわして進む。特効も可能だが非常に痛く、ボス戦が待ち受けていることを考えると非推奨。 第3フロアでは同フロアに出現する敵「アッシュ」を倒してクエストアイテムを集めなければならない。アッシュ自体の強さは大したことは無いものの、状態異常無効の上に厄介な攻撃を仕掛けて来るブブゼラベやエターナリアも同時に相手にしなければならないのが辛い。ブブゼラベに対して先攻を取れるキャラが1人か2人は欲しい。敏捷が足りなければ「ラッキースター」装備も有効。 ボス戦は各フロアごとにあり全4戦。第1フロアのエタケルトンRはお供のエタケルトンともども炎と光属性に弱い。打撃攻撃のみなので防御力を上げつつレイン・ワイヴォン・ウカちゃんの有効魔法で一気に大ダメージを与えたい。第2フロアのエタナガルーダはターン経過&ボスのHP減少でブブゼラベが湧く。ブブゼラを受けると苦しいので先攻を取れるキャラで各個撃破していく、放置厳禁。サイクロンで即死しないようにクレンを使うのもアリ。第3エリアのサムエルも同様で、エターナリアを放置するとエターナリアの花粉でステータスを下げられ苦戦するので、出現即撃破が基本。 大ボスのミスチルゴーレムは強いが、前座と違いお供がいない点は楽。弱点属性は雷なのでツクヨミの稲妻連撃か、エクシアのエクレールが有効。ザンで雷属性を付与してもいいが、半分以上ダメージを与えると「イノセントワールド」でこちらの付与効果を無効化してくるので注意。ミスチルゴーレムのHPは1818なので900近くダメージを与えるまでは属性付与は非常に有効。防具が貧弱だと「ネクストドア―ノック」の2度攻撃で即死もあり得るのでメインで使うキャラの防具はしっかり整えておくこと。
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51 名前:UNNAMED 360[sage] 投稿日:2016/03/19(土) 02 45 26.32 ID 3Haewdo+ 67話 飛び去る巨虫 大陸の中心部を覆う様に聳える山脈の地下洞窟に、住居を構える土の民は、資源調査を兼ねて洞窟に侵入した自衛隊と出合い、日本と正式に国交を結ぶ事になった。 交渉中に巨大な魔物の襲撃を受ける物の、自衛隊は重火器と攻撃ヘリコプターを用いて撃退した事で計らずともその軍事力を示威する事になる。 その事で日本に対して畏怖と警戒心を抱くものも多く、特に、黒き甲獣を焼き払い、地下都市付近の平地で羽を休める異形の羽虫は、土の民の視線を集めた。 『これがニポンの操る鉄の羽虫か・・・・何とも面妖な姿をしているな。』 『嘴の様な部分から破壊の閃光を放ったのだとか・・・恐ろしい力を持つ羽虫だ。』 『ねぇ、この羽虫いきなり動かないよね?寝ているのかな?』 『いや、そもそもコイツは生き物じゃないだろう、どうやって作ったのか判らないが、コイツは人の手によって作られた人工の羽虫よ。』 『リクビト・・・いや、イクウビトと言ったか・・・彼らと国交を持つことで何が齎されるのだろうか・・・全く計り知れん。』 不時着したコブラの周りに人だかりが出来ている。その光景を地下都市付近に設置された天幕から自衛官たちは眺めていた。 「今日も集まっているな、ツチビトの連中は・・・まぁ、外せる部品は外しておいたから別に作業は残していないんだが・・・・。」 「そう言えば、そろそろ来るかもしれませんね。ずっと洞窟内に放置する訳にも行きませんし、早めに基地に運びましょ。」 ふと上を眺めると洞窟に大きな羽音が聞こえ始め、洞窟の天井にぽっかりと空いた大穴から巨大な羽虫が舞い降りる姿が見えて来た。 「噂をすればお迎えが来たな、さて、久しぶりの帰還だぞコブラさんよ。」 洞窟地下に降りたコブラよりも更に大型のチヌークの出現により、コブラに集まっていたツチビト達は蜘蛛の子を散らすようにコブラの近くから退避し、腰を抜かす物や転倒する者も出てしまう。 既に外せる部品を外して軽量化したコブラに吊下装置を作業員が素早く取り付け、チヌークは上昇を始める。 巨大な羽虫が、更に巨大な羽虫に吊り下げられ、洞窟の大穴から飛び去って行く。その現実離れした光景を地底都市に住む多くのツチビトの目に焼き付ける事になる。 『うひゃぁっ、な・・・何だぁ!?』 『あ・・・あ・・馬鹿な、唯でさえ巨大だったあの羽虫よりも更に大型の羽虫だと!?』 『それに、あの巨体を抱えることが出来る怪力を持つと言うのか・・・化け物め・・・。』 『もう何でもありだな、ニポンは・・・次に何が出てきても驚かないぞ。』 『鉄の羽虫・・・帰っちゃった・・・もっと見ていたかったな・・・。』 『ふぬ?』 「これで、片付いたな、まぁ何時までもあそこに放置している邪魔だろうし、取りあえずひと段落と言った所か。」 「洞窟の入り口が狭すぎるから分解して持ち帰るのは難しいからな、拡張工事でもすれば良いのだろうが、無許可で行う訳にもいかないしなぁ・・。」 「先がどうなるかは判らないが、それらを可能にするためにも先ずは国交だろ?焦っても仕方がない。」 「そうだな、まぁ、細かい交渉はお偉いさんに任せて、俺達は俺達の仕事をこなさないとな。」 「確かゴルグで働く重役さんが来るんだっけか?日本本土から遠く離れた地で良くもまぁ頑張るよ。」 「違いない。」 「そう言えば、地下都市では滅多に訪れる事のない外からの来客にきっつい芋焼酎を振舞う習慣があるらしいが、大丈夫なのかねぇ・・・。」 「きっつい芋焼酎か、いいねぇ!暫く酒なんて飲んでないから羨ましい事だよ。」 後に、地下都市に派遣された外交官が、それ程アルコール耐性が無く宴の席で意識を失ってしまうのだが、それはまた別の話。